トップ > ブログ >  > 値引きして売っていた本当の原因

値引きして売っていた本当の原因

2016.11.4 | ,
  •  

From:北岡秀紀

先日までコンサルティングさせていただいていたある営業会社のお話。
売上は相当あるのにキャッシュが残らないという悩みを抱えていました。

損益計算書やら種々のデータをいただいて数字を15分ほど分析するだけで、その理由がわかりました。

営業の一人あたりの粗利がやたらと少ないのです。
本来、それほど利益率の低い業態ではないのですが…
よく調べてみると、この会社では値引きして売ることが常態化してしまっていたのです。

この社長は相当マーケティングを勉強していて、見込み客が大量に取れています。本来であれば素晴らしいことなのですが。

今回に限っては、それが裏目に出ました。
たくさん見込み客がいる。
だから、とりあえず値引きしまくって数を売る。
そのほうが効率がいいと、この会社の営業の人たちは考えてしまったわけです。

社長の立場からすれば、それはおかしいだろと言いたいところでしょう。
しかし、こんなことが起こったのは社長の責任です。

なぜこんなことが起こったのか?

なぜそんな風に断言できるか?
まず社長が営業ひとりあたりの粗利を全くチェックしていなかったこと。
そして、売上があがれば利益は増えると勘違いしていました。

だから売上が増えてもキャッシュが残らない。
「あれ?まだ売上が足りないのか?」と勘違いし、また営業を雇う。
新しく入った営業はスキルが低いわけですから、さらに粗利が稼げません。

結果、むしろ会社の利益を圧迫していたわけです。
まぁ、売上が増えれば利益も増えると勘違いしている社長は割と多いので、この社長が特別おかしいというわけではありません。
(あなたは大丈夫ですか??)

本当に重要な問題は。。。

しかし、その勘違いだけであれば、営業がココまで値引して売るということはなかったはず。
もっと根本的な制度上の欠陥がありました。

それは…インセンティブ制度です。

この会社では、売上目標を達成することでインセンティブを支払うという仕組みになっていました。
しかし、一方で粗利を稼いだ人に対するインセンティブはありません。
結果、粗利よりも売上に必死になるわけです。

そもそも商品の利益を把握して、利益ベースで行動する社員なんてまずいません。
数字をよく見ている人でも、分かりやすい売上くらいしか見ていません。
しかも、インセンティブが売上ベースになっているなら、利益をみるなんてするはずもありません。

そこで、粗利をベースにインセンティブを支払う制度に変えました。
結果、一時的にやや売上は落ちたものの一気に利益率が(そして、利益額も)改善しました。

報酬制度は方針を伝えるもの

似たような話は他にも。
別の営業会社の話ですが、どうも会社の雰囲気がギスギスしている。
みんなが協力しない、という話でした。

この営業成績の順位でインセンティブを支払う仕組みになっていました。
全員が競争相手ですから、そりゃギスギスします。

なので、チームの粗利を分配するようなインセティンブ制度に変えました。
結果、協力するような雰囲気に変わっていきました。
(風土に根付いていることもあり4ヶ月くらいかかりましたが。)

売上ベース、順位ベースのインセンティブがダメだ、ということではありません。
ただ、理解すべきなのはインセンティブは、従業員のモチベーションをアップするものだけではない、ということ。
スタッフに対して会社の方針、姿勢を暗に伝えるものでもあるのです。

あなたの理想の会社像と報酬・評価制度は一致しているでしょうか?
ぜひ一度見直してみてください。

北岡 秀紀

マーケティングコンサルタントであり、コンサルタントを指導するコンサルタントでもある。これまで約900以上のクライアントのコンサルティングを実施し、数々の店・中小企業・オンラインショップの売上改善を果たす。その成功率は91.7%を誇る。(2011年10月現在)単に机上の空論ではなく、「自身で実証済みのノウハウだけを伝える」ことを信条としている。年商1億円を突破したい社長向けの情報サイト『オクゴエ!』を主宰。また、自身のノウハウを受け継ぐコンサルタントを育てるプログラムを主催しており、一人あたりの参加費は350万円という超高額にも関わらず、申込が殺到。参加希望者の77%以上を断っている。

北岡秀紀の記事一覧

ブログ一覧へ戻る

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

【ザ・レスポンス】の最新記事をお届けします

ページトップへ
Loading