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台湾紀行

2015.12.7 | ,
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From:小川忠洋

西宮のプライベートオフィスより

 先週、リアルインサイトの鳥内さんの企画で、台湾ツアーに行ってきた時の話。このツアーは、李登輝元総統に直接、話を聞いて、日本の歴史が残る台湾のスポットを巡ろうという歴史探索ツアー。ポッドキャストではバカな話をしたけど、今日はマジメな話で。

 台湾に行くのは初めてだったんだけど、台湾に着いたらスグにホテルの会場に連れて行かれて、早速、李登輝さんの講演会が始まった。

題目は「指導者とはどうあるべきか?」

 指導者つまり、リーダーとはどうあるべきか?って事で、歴史だけでなく、社長や経営者にとって良い学びになる話をしてくれる感じになっていた。まぁ、リーダー、指導者ってのは、社長や経営者に限った話ではないけどね。その中の話でいくつか、ぼくが個人的に印象に残ったところをシェアすると…

指導者は決断しなければいけない
そして、決断には恐怖がともなう。

 李登輝先生の話で、最も印象に残ったのは、この一言かな。社長、経営者は意思決定しなければいけない。

 それが社長の最も重要な仕事だが、意思決定には、「失敗したらどうしよう」「駄目だったらどうしよう」「会社が潰れるかもしれない」という恐怖がともなう。誰だって、昨日と同じことしていた方が、楽だし、なぜか人間、昨日と同じことをしていれば、明日も同じことが起きると勝手に思ってしまう。

 現実は、まるでその逆で、昨日と同じことをしていたら、明日は、全く違うもの(悪い意味で)になってしまう。だからこそ、今日、やるべき事に変化を加えていかなければならない。変化し続けなければいけない。

 今の、超優良企業って呼ばれる会社だって、最初っから同じ事業をしていたわけではない。例えば、スタバはコーヒーは売っていたけど、カフェではなかった。ポストイットで有名な3Mはもともとは採掘会社。鉱山を採掘する会社だ。

 まぁ、事業とは常に変化していかなきゃいけないもんなんだけど、その変化のきっかけを作るのは大抵、経営者の意思決定によるもの。だからこそ、失敗した時の痛手はハンパない。シャープが液晶テレビ作るために巨大な工場を作って、やばい状態になっているのも、意思決定をミスったのが、すべての始まりだろう。

 そんなわけで、決定には常に「失敗したらやばい」という恐怖が伴う。だからこそ、人はできるだけ決定しないように、責任を負わないようになりがち。これは、経営者に限った話ではないけどね。

 しかし、李登輝先生の話を聞いて、スゲェ〜なと思ったのは、総統の時代に李登輝さんが行った意思決定は「国を揺るがす」意思決定であったということ。李登輝総統の意思決定により、中国からミサイルが飛んでくる・・・そんな意思決定を、毎日、していたんだから恐ろしい。

 もちろん、心が安まる日はなかったという。だからこそ、自分なりの信念、信仰を持つことによってそれを拠り所にしていたと。指導者は、常に攻撃の対象になる。常に批判の対象になる。誰も助けてくれない。だからこそ、自分の中に強さを持っていなければならないと。

 この話を聞いた時には、自分がやっている意思決定なんぞ、全く屁でもないようなものばかりなんだなぁと思い知らされた。一企業の社長の意思決定なんて、どんなに間違えたとしても、絶対にミサイルは飛んでこないし^^;

 他にもいろんな事を聞いたんだけど、それを書いていると終わらないのでまた別の機会に話すとして、李登輝元総統は、今でもとっても日本を愛していることが伝わってきた。昔、台湾が日本だった時代に、日本の教育を受けた。

 そこで武士道や論語を学び、哲学のようなものができたという。あらゆる文学を読んで教養を深めたと。その後、京都大学に行き、東京大空襲の時は、千葉県にいて、名古屋で敗戦を迎えたんだそう。それから台湾に帰ったと。

 そんな李登輝元総統が言うには、日本の戦後教育には「かなり」問題があると。歴史教育がすっぽり抜けているので、外国がどのように動いているのか、日本人にはわからないのだと。1988年に台湾と中国の関係が悪化した時に、中国軍はどんどん大きくなって力が対等なレベルまで迫ってきた。

 その時、米国は、中国を味方につけたかったので、台湾をあっさり見捨てた。戦闘機のF16を米国に売ってもらいたかったが拒否されたと。なので、フランスに行って値段の高いミラージュを買いに行った。そしたら、米国がF16を売ってくれたと。つまり、米国が守ってくれるなんて思っていたら、大間違いで、自分の国は自分で守らないといけない。ということだった。

「そんな話が何の関係があるのか?」

 よく、社員の人からも聞かれるし、疑問に思われるんだけど、そんな歴史の話とかが、一体、うちの事業に何の関係があるのか?小川もあっち方面に行っちゃったのか?と。しかし、経営者にとって、これはとてつもなく大切な仕事だと思っている。

 歴史に関して言えば、普通の教育を受けてきた日本人には、過去の記憶がない。だから、自分が日本人だという自覚も薄い。これはアイデンティティが希薄だということかもしれない。だから、自分が何者かがわからない。自分が信じる価値観や信仰がない。

 なので、手っ取り早くわかりやすい「金」という価値観に行き着く。中国共産党が宗教をNGにして、現代の中国人が目先の金と自分の私利私欲に走るのとよく似ているんじゃないか。

 そのような状態では、自分たちがこれからどうあるべきか?これからどんな道を進むべきか?どこへ向かっていくべきなのか?という事なんて分からないんじゃないか。そして、これらは、経営者、社長が、リーダーとして指導者として「示さなければいけない」事じゃないだろうか。

 イメージで言うと、自分が今25歳くらいなんだけど、大学生だった頃や高校生だった頃、それ以前の記憶が一切ないような状態。そんな状態で、将来の夢は何?なんて聞かれても、答えようがないんじゃないだろうか。そして、記憶喪失になった時に、まずはじめに言うことは、「私は誰?」「ここはどこ?」

 個人的な経験から言えば、それらの記憶を一つ一つ取り戻すとともに、自分の中に使命感が生まれ、それがどんどん強くなる。使命感は、会社のミッションに昇華していく。結果的に、事業を会社を成長させる、エネルギーになる。

 個人の利益だけを考えれば、会社がそれなりの売上規模になって利益も安定して出るなら、それ以上、成長させる必要はなく、その利益を使って、毎日を楽しく暮らせばいいだろう。おそらく、使命感がなければ、会社を成長させるエネルギーは湧いてこない。面倒くさい仕事だらけだからだ(笑)
 
 しかし、自分が死ぬ時に、どちらの人生が良いんだろうか?

 どちらが自分でかっこいい生き方だと思うだろうか?

 どちらが自分の子供に見せたい生き方だと思うだろうか?

 ミッション、使命、天命は、与えられるものじゃない。自分で探しに行くものだ。探すのには、何年もかかるだろう。けど、それだけの価値ある事じゃないか。

ーおがわ

PS:
鳥内さんのFacebookに台湾での話が綴られています。
https://www.facebook.com/toriuchi?fref=nf

小川 忠洋

読者累計30万2163人を誇るマーケティングメルマガ『ザ・レスポンス』発行人、ダイレクト出版株式会社代表取締役社長。『ザ・レスポンス』の他にも、読者累計14万5000人の『デイリーインスピレーション』などを毎日発行。年間1億通以上メールマガジンを配信。日本ナンバーワン・マーケッターにも選ばれた神田昌典氏など、一流の経営者とも提携を結びビジネスを展開。著書に『自分を不幸にしない13の習慣』『フリーで利益を生み出す45の鉄則』『インターネットマーケティング最強の戦略』がある。

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