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[実験結果]いい商品が売れない理由

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From:山田光彦

・なぜ、いい商品が売れないのか?
・売れている商品Aよりも、商品Bの方が絶対いいのに、、、

あなたがこんなことを感じたことがあるなら、きっとプリンストン大学の社会学者ザルガニク氏がやった、この実験は役に立つと思います。

どんな実験が行われたかというと、とても単純。

ざっくりいうと、売れる商品は質がいいから売れるのか、また別の理由で売れているのか、ということを調べるために、こんなウェブサイトを作ったんです。

・無料で音楽をダウンロードできるウェブサイト。
 しかも、クリックすればダウンロードしなくても、音楽を聞ける
・アップされている音楽は、まだ、ほとんど知らていない曲だけ
・今までダウンロードされた数が曲の横に表示される

というもの。そして、このサイトを利用する人を8つのグループに分け、ウェブサイトに表示されるダウンロード数は、同じグループにいる人がダウンロードした数が表示されるようになっていた、ということでした。(確か)

もし、曲の質が高いものに人気が出るなら、8つのグループで同じような曲(質の高い曲)が人気になって、大量にダウンロードされるはず、、、ですよね。特に、このウェブサイトでは、ダウンロードしなくても、曲も聞けるわけですから、そうなってもおかしくありません。

もちろん、この8つのグループはかたよった状態にならないように、スタート時点ではできるだけ同じ状況になるようにされていました。そして、結果は・・・

実験結果:8つのグループはバラバラの結果に…

ダウンロードされた曲の人気は、8つのグループでぜんぜん違う結果になってしまった、ということなんです。たとえば、あるグループで1番人気だった曲が、違うグループでは48曲中40位と、下から数えたほうが早い順位ということもあったんです。

しかも、ダウンロード数が横に表示されていることもあって、人気のある曲にはさらに人気が出る傾向があった、ということなんです。つまり、マーケティングとか、セールスライティングの世界でいうと、社会的証明とかと言われているもの。くだけた言い方をすると「みんながいいと言っているんだから、いいもんなんだろう」という原理の方が強く働いた結果、人気のある曲により人気が集まった、ということのようです。

もちろん、人が何かを決めるときや、どの商品を買おうかなどの決断をするときに、いつも他の人にどれだけ人気があるかどうか、を基準にするわけではありません。それに、この実験でも、曲の質の高さと実際の人気にも一定の関連性があったようなんです。ですが、、、

この実験のケースでは、どの曲をダウンロードするかどうかを決めるときには、いい曲かどうかとは違う”まったく別の力(社会的証明)が強く働き、人を動かした”ということなんです。

人を動かす力

この実験では、曲に人気があるかどうか、がダウンロード数に一番大きく影響するということでしたが、いつもこれが人を動かす強い力を持っているとは限らないでしょう。

たとえば、モンブラン。

モンブランは普通のボールペンや万年筆と比べるとかなり高い価格になっています。それなのに「モンブランのボールペンはみんな使っていますよ」みたいなことをアピールしてしまうと売れなくなってしまうでしょう(何かの理由で、高校生や中学生がモンブランを普通に使うようになったら、おそらく、今モンブランを使っている人達は、別のブランドに乗り替えてしまうと思います)。

そして、こういった人を動かす力を使って、商品を売るのが、僕たちマーケターやセールスライターの仕事です。しかも、いい商品を作るためにも、まずは売らなければいけない、というようなことも徐々に明らかになってきました。

シリコンバレーで生まれたリーンスタートアップとかは、その例のひとつでしょう。具体的には、試作品を作って売る→お客さんからフィードバックをもらう→商品を改善する、みたいな流れでいい商品を作っていくのがいい、というような考え方ですね。いい商品かどうかを決めるのは、お客さんということを考えると、お客さんからフィードバックをもらって、商品を改善していくというのは、とても合理的な方法です。

それに、この実験結果は、マーケターやセールスライターが人を動かす力をうまく使えば、質の悪い商品でも売ることができる、ということでもあります。なぜなら、いい商品かどうかは、商品を買うかどうかを決める、一番重要な要素ではなかったわけですから。

なので、あなたが社長で競合よりもいい商品を売っているという自信を持っているなら、人を動かす力(マーケティングやセールスライティングのスキル)を使って、どんどん商品を売っていって下さい。競合から商品を買うよりも、あなたから商品を買ったほうがお客さんにとって幸せですから。

あなたがセールスライターなら、いい商品を広げるためにスキルを使って下さい。たとえ、報酬が高くても、粗悪品を売ってしまうと、お客さんにとっても不幸なことですし、あなたにとっても、5年後、10年後に思い出したくない苦い記憶になってしまう、、、と思いますよ。

山田 光彦

【ザ・レスポンス】の責任者兼チーフ・セールスライター。以前は、司法書士として事業をやっていたが、顧客を集める重要性を痛感し、セールスライターへ転身。現在、ダイレクト出版のマーケティング部門の事業部長を務める。

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