トップ > ブログ >  > 従業員サービスで売上は上がる?

従業員サービスで売上は上がる?

2013.7.26 | ,
  •  

From:北岡秀紀

最近、メディアで「社員が働きやすい会社」みたいな特集を、よく見かけます。健康的なランチを社員食堂で提供していたり、お菓子が食べ放題だったり、カフェスペースがあったり、オシャレなオフィスであったり、実に多種多様。

顧客第一主義ではなく、従業員第一主義を標榜する会社も増えていて、「従業員のために会社があるのですっ!」なんてのたまう経営者もいます。また「従業員は会社にされた扱いを、お客さんに同じようにする。だから、従業員を大切にすることで、従業員はお客さんを大切に扱ってくれるようになる」とおっしゃる方もいます。

そういうのを見聞きして、従業員のモチベーションアップのために「ウチも福利厚生をもっと充実させたい」という経営者が結構います。それは大間違いです。

なぜなら仕事の目的とは、従業員を喜ばせることではなく、生産性を向上し売上をアップすることだからです。すごく当たり前の話です。

では、冷静に考えて、それらの従業員サービスは売上アップに寄与するのでしょうか?それは違うというのが答えです。

制度のおかげで売上アップ??

実際、よく見てみると、これらの変わりダネの福利厚生をやっている会社というのは、伸びている会社ばかりです。だから、そのような制度をウチにも入れようと考えるわけですが…これらの制度があったから売上が伸びたわけではありません。売上が伸びて余裕が出てきたから、そのような制度が実施できるのです。その証拠に、これらの制度を実施している会社は、全て創業から制度を実施していてはいません。ある程度伸びて成長してから、その制度を実施しているのです。つまり、制度と成果の因果関係が逆なのです。

むしろ従業員サービスは必要以上にやるべきでない、というのが私の考えです。

権利意識の恐怖・・・

もしあなたが、このような制度のある会社の社長になったとしましょう。業績が悪くなったら、何から手を付けますか?きっと、このような制度をやめるところから開始するのではないでしょうか。直接的な業績の寄与が分からないから、まァ、そうなるのが自然でしょう。

しかし、この制度をやめると発表したら…。間違いなく「権利を奪うのかっ!」と従業員が声をあげるに決まっています。人は慣れるからです。最初はありがたいと思っていた制度も、どっぷり浸かればいつもの制度となります。受け取って当然という権利意識になるのです。他と比べればありがたい付加サービスなのに、当たり前の権利として頭に棲みついてしまうわけです。

そして、実際に制度をやめることを強行したら…。従業員のモチベーションは、当然下がることになります。

従業員サービスというのは、そんなリスクをはらんでいるということです。確かに経営者の自尊心は満たされます。しかし、そのために毎月の固定費を増やすのは愚の骨頂と言えます。

ならば、利益を上げたときにキャッシュで還元する方がよほど賢いと言えます。従業員の立場からすれば、健康的な昼ご飯より、お菓子より、キャッシュの方がいいに決まっていますから。

制度に逃げない

従業員サービスで面白い制度を作ればメディアに取り上げられ、優秀なスタッフが入って来易くなるという意見もあるかもしれません。しかし、そんな従業員サービスを見て入ってきたスタッフが優秀とは到底思えません。

そもそも制度を作るだけで、従業員をなんとかしようという魂胆が間違いです。

マネジメントを機能させたいなら2つのパターンしかありません。

ひとつめは「大切にされている」と従業員に感じてもらうために、徹底的に手間をかけて声をかける。もうひとつは、そういう感情は抜きにして、成果を出してもらえる仕組みを作る。

いずれにしても、マネジメントをするにはそれなりの労力が必要だ、ということです。それができないなら、経営者なんてやめればいいんです。

北岡 秀紀

マーケティングコンサルタントであり、コンサルタントを指導するコンサルタントでもある。これまで約900以上のクライアントのコンサルティングを実施し、数々の店・中小企業・オンラインショップの売上改善を果たす。その成功率は91.7%を誇る。(2011年10月現在)単に机上の空論ではなく、「自身で実証済みのノウハウだけを伝える」ことを信条としている。年商1億円を突破したい社長向けの情報サイト『オクゴエ!』を主宰。また、自身のノウハウを受け継ぐコンサルタントを育てるプログラムを主催しており、一人あたりの参加費は350万円という超高額にも関わらず、申込が殺到。参加希望者の77%以上を断っている。

北岡秀紀の記事一覧

ブログ一覧へ戻る

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

【ザ・レスポンス】の最新記事をお届けします

ページトップへ
Loading