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正しい順序で顧客の心と脳にアピールしよう 

2017.2.11 | ,
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From:マイケル・マスターソン

ビジネスで1億円稼ぐ秘訣の良い例となる話を紹介しましょう。

私のオフィスのあるスタッフは、スタンダードモデルのSUV(スポーツ用多目的車)か、グレードの高いデラックスモデルを買うか迷っていました。私たちはコスト、特徴、用途を比較し、どちらがよいか話し合い、最終的に理屈に後押しされ、彼は無難なスタンダードモデルを選びました。彼は自分の決断に満足してカーディーラーに向かいました。

3時間後、彼はニコニコしながら私のオフィスに戻って来ました。
「いい買い物ができて嬉しいのかい?」と聞くと、
「うん。デラックスモデルを買ったんだ。」と答えたのです。

この一連の会話の中で、私はある興味深い点に気がつきました。購入前は躊躇していた彼ですが、セールスマンのある計画的かつ説得力のある発言により、そのためらいの気持ちはなくなりました。車自体の性能と彼のニーズは最初から何も変わっていなかったにも関わらず、次の2つの事が起こったのです。

1.明らかに感情的な理由で、実用的ではない方の車を選んだ。
2.彼の中の半信半疑だった気持ちが、驚くほどの自信にかわっていた。

セールスマンが彼の頭の中にインプットしたこととは?

なぜでしょう?それは彼が車を購入した後に、セールスマンがとても利口に立ち回ったからです。彼は30分もかけて、彼に新しい車の特徴を説明し、それから高級仕様モデルだけが搭載している多くの機能を具体的に並べ立てました。これらを彼の頭の中にインプットしたことで、セールスマンは次のような有益な目的を達成しました。

・「買い手が商品を購入した後に後悔する」気持ちを軽減し、さらには消し去った。
・「高級車を購入した」ということを彼が後に正当化できるように、その車のすばらしさを表現するフレーズを彼にインプットした。結果、他人に対してもその車を宣伝することになる。
・「このセールスマンのおかげで良い買い物ができた」という記憶を、彼の中に残した。次回彼が別の車の購入を考える際には、喜んで同じセールスマンのところに行くだろう。

これは人間の心理に関する重要な事実が効果を表した好例です。これがどのように作用するかを理解すれば、あなたはより良いセールスライター、しいては説得力のある人間になれるはずです。

人は一貫性をもった行動をしたがる

ロバート・チャルディーニは、著書『Influence: The Psychology of Persuasion』(邦題『影響力の武器』)の中で次のように述べています。多くの心理学者らによると、私たちがものを購入するときに下す決断を正当化したがるのは、「自分の行動には一貫性があり、しっかりとした基準のもとで行動している」と信じたい気持ちが強いからだそうです。
しかし、一貫性を求めるあまり、普段しないことでもやらずにはいられない気持ちになることなんてあるのでしょうか?

「もちろん。」とチャルディーニは続けます。「レオン・フェスティンガー、フリッツ・ハイダー、セオドア・ニューカムといった著名な理論家は、一貫性を求める欲求こそ私たちの行動の中心となる要因だと考えています」

[実験]ビーチで泥棒がラジオを盗んだら…

それを証明するために、彼は次の実験例を挙げています。

ニューヨークのビーチで、ある研究員が実験対象者の隣にラジオを置いて敷物の上に座り、日光浴をしている人のふりをしました。少しリラックスした後、研究員は海に入って行きました。しばらくすると、泥棒になりすました別の研究員が寄ってきて、ラジオを「盗んだ」のです。この実験が行われた最初の20回では、たった4人の実験対象者以外はただ見ているだけで何もしませんでした。

この実験はもう20回繰り返されました。今度は、実験対象者に「荷物を見ててくれませんか?」と頼んでおきました。すると20人中19人が、泥棒を止めに行ったり、ラジオを取り返しに行ったりしたのです。

私のオフィスの彼のケースでは高級車を購入した動機は合理性に基づいた一貫性、日光浴者のケースは約束を果たすという道徳的規範に基づいた一貫性を求める欲求です。

お客さんにあなたの商品を「買わなければならない」と思わせる2つのステップ

一貫性に対する欲求のそれら2つの結果を利用し、次のことをすれば利益を倍増することができます。

⑴見込み客の購買意欲を駆り立てる「道徳的義務」を作り出す。

そして、

⑵商品購入後、自分のした行為が正しかったと正当化する後押しをしてあげる。

彼のセールスマンがどのように購入の決断を正当化する手助けをしたのかは、すでに説明しました。さて、ここで1つ例を出してみましょう。セールスマンは彼に対してどうやって「道徳的に」買わなければならないと思わせたのでしょうか。

今までに販売員が、「ジョンさん。かくかくしかじかのようなリスクを冒さない、あれやこれやの方法があるんですよ。よろしければお聞きになりませんか?」なんて言うのを聞いたことがありませんか?

もちろんありますよね。これはマンツーマン販売の最も一般的なテクニックの1つです。私の友人彼の場合、担当のセールスマンが「彼さん好みの大きいタイヤ、ワンランク上のサウンドシステム、ABS、これらを全て付けることができます。もちろん月々のお支払額は、ご希望の上限金額400ドルのままです。どうでしょう?興味ありませんか?」とでも上手く言ったのでしょう。

少なからず好奇心はあったはずですから、彼はさぞかし「はい」と答えたかったことでしょう。「ほんの6カ月」支払い契約期間を延長することで、グレードの高い乗り物を手に入れることができると提示され、そこで仮に彼が「はい」と答えていたとしたら、少なくとも「興味を持つ」ように道徳的に強いられたということです。

イメージ広告とダイレクト・レスポンス広告を含む一般的な広告形態でこの戦略はめったに使われません。どういうわけか、セールスライターたちは、「自分たちにはそんなまわりくどいことをしている時間はない」と思うようです。恐らく彼らは、プッシュ戦略にこだわりがあるのでしょうね。

道徳的義務を顧客に与え、購入に一歩近づくよう促し、そして商品の購入を決断した顧客の感情を正当化してあげるのです。この素晴らしいパワーの使い方をきちんと理解すれば、決してまわりくどいことをしているのではなく、取引を成立の方向へと導いているということがわかるでしょう。

マイケル・マスターソン

年商100億円以上の会社を2社、50億円以上の会社を2社、10億円以上の会社を10社以上保有、ダイレクト・レスポンス・マーケティングの世界で屈指の実績を誇るスーパー起業家。その事業構築の手腕は多くの起業家、マーケッターから高く評価され、推薦分などを書くことがないジェイ・エブラハムが著書に序文を寄稿するほど。AWAIのファウンダーの一人であり、450,000人の会員を誇るメールマガジン「Early to Rise」のファウンダーでもある。

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