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田舎のたまご屋さんのフリー戦略

2013.5.11 | ,
  •  

From:中森清久

わたしの家から山道を20分ほど走ると、大阪とは思えない田園風景が現れます。
春の陽気が訪れる頃には、ピンク色の山桜が満開に咲き、目に眩しい新緑を背景に、木蓮の木が白い花を誇らしげに咲いています。

そんな田園地帯の一角に、我が家の小さな小さな畑があります。
広さは100平米ぐらい。
それでも、2週間から1週間に1度の訪問では手入れするのが、大変な広さです。
夏は暑いですし、冬は寒いので、畑に出向くのがおっくうになりますが、気候がよい春のこの時期はウキウキして畑に出かけます。

そして、畑から車で1分ぐらいの場所に、農家直営の店があり、そのお店では、近くの農家が作った野菜やお米などの農産物や農産物を加工したおこわや漬け物、おもちなどを直接販売しています。

その中で、もっともありがたいものは、
・・・・・
うどん・焼きそば・おでんなどの軽食類。

お腹が空いたときや冬の寒い日には、暖かい軽食を食べて、元気を回復しています。

先日も、畑に出かけがてら、お昼の軽食を食べに、農家直営店を訪れました。

そうすると、直営店の近くに、見慣れないのぼりが立っていました。
これまで一度も見たこと無かったのぼりです。

そののぼりには、こう書かれていました。
「たまごあります」

直営店から20mほど、登ったところに、どうやら、新しいお店がオープンしたようです。
オープンといっても、立派なのぼりと、パラソルがあるだけ。

「こんなへんぴなところで、たまご販売???」
と思いながら興味津々で、店の敷地の前までいくと、敷地の入り口には、小さな黒板に、「無料休憩所コーヒー飲めます」と白いチョークで、書かれていました。

“こんなところまで、フリー戦略かぁ~でも、まったく伝わってないよなぁ~“
と思いながら、敷地に入っていきました。

敷地内の道は、少しなだらかな登りになっており、登り切ると、右手側か鶏舎への道。左手側にたまごを販売しているパラソルの方へ進む道になっています。

どこでコーヒーを飲むのかなぁ~と思いながら、左手に進むと、40歳ぐらいのめがねをかけた人の良さそうなおばちゃんが、「いらっしゃいませ」といいながら、紙コップに入ったコーヒーをわたしに手渡してくれました。
もちろんドリップコーヒーではなく、少し甘めのインスタントスティックコーヒーです。

しかし、食後と言うこともあり、コーヒーが飲めると家内は大喜びをしていました。
「フリー戦略にはまってるやん」と思いながらも、声に出さないことが夫婦円満の秘訣です。

ところで、販売されている卵ですが、われわれの前には、先客が1組いました。
お祖父ちゃん、お父さん、子供2人という、3世代家族です。
先客は、自然卵10個300円のたまごを1セット購入したあと、1個400円の烏骨鶏の卵を買おうか買うまいか、相談していました。

そこで、50歳ぐらいの立派なひげを生やした店主のトークスクリプトに期待します。
「都会で買うと、1個500円しますよ」
1個500円が、400円になるわけですから、安いですよね。
さらに、
「烏骨鶏の卵は、普通のにわとりより栄養がいいですよ」

なるほど、で、具体的には、どんな栄養があってどんなベネフィットがあるの?
と、次のトークに期待です。

「・・・・」

でも、期待はたいてい裏切られるもの。
続きの説明は残念ながら、ありませんでした。
しかし、先客は、この説明で満足したようで、1個400円の烏骨鶏卵4つで1500円をお買い上げです。

おぉ~。すごい。
普通、1パック10個入り、200円とすると、卵1個の単価は20円。
それが、1個400円ですから、単価20倍です。
それも、アップセルで、4個も販売してしまいました。

おっちゃんやるな。

でも、20倍も美味しいわけありません。
(ワシ等は買えへんで)と、心の中で思っていると、

となりで、家内が「うちも買っていい?」と

思わず心の中で、“じぇじぇじぇ“という流行語を発してしまいました。(ここで声に出さないことが、夫婦円満の秘訣です)

「美味しいかなぁ?」(心の声は、「やめとき」)というと、
「味見をしてみたいし」というではありませんか。

しかたなく、「じゃ、買ってみるか(ネタになるし)」と言うと、いきなり、4個1500円のアップセル商品を頼んでいます。

「だってコーヒーも飲ませてもらったし、4個買った方が、お得やん」
とニコニコとうれしそうに言っています。

フリー戦略と都会と田舎の比較戦略
さらには、アップセルにしっかりとはまっている家内を見て、基本がどれほど大切かを改めて痛感しました。

たとえ、単価が20倍になっても、喜んで購入しているわけですから。

いつまでもつのかわかりませんが、日曜日にしか店を開かない辺鄙な場所のたまご屋さん。
これからも、ときどきのぞくからね。

-中森清久

そうそうおそらく一番気になっているのが、烏骨鶏卵のお味ですよね。。。
普通の卵の単価より20倍である1個400円の卵の味は、家内の返事で判断してください(笑)
「普通の卵より20倍美味しかった?(わたし)」「そんなわけないやん(家内)」

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