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研修中の名札

2014.3.28 | ,
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From:北岡秀紀

From:北岡秀紀

複数の飲食店を経営する友人と食事をしている時に、「新人が育たない」という相談を受けました。普段なら友人の飲みの場での相談には絶対に乗りません。どうせやらないからです。

しかし、成功したらVIPルームをいつでも使える権利と3年間タダメシの約束という強力なオファーに負け、食事の後、二次会で彼の店を使いなぜなのか理由を探ろうということになりました。(タダメシはともかく、ここのVIPルームはめちゃくちゃ雰囲気も良くなかなか予約が取れません。)

お店に入って約20秒、席についた瞬間、新人が育たない理由がわかりました。多分、あなたも何気なく見たことがある、「あるもの」が原因なのですが何か分かりますか?立ち止まって、ちょっと考えてみてください。

甘える理由

答えは、「研修中」の名札です。この店では勤務を開始してから200時間は名札に研修中という表記を付けています。飲食店やコンビニなんかでも、まァおなじみの光景だと思います。

しかし、この「研修中」という表示は最悪です。なぜなら名札に研修中と書いてあれば、当然そのスタッフも自分は研修中であると認識します。現場にいると何か問題が発生したり、自分で判断を迫られたりする場面というのが必ず起こります。

そういうのを何とかかんとかこなしてこそ成長するわけですが、研修中だからと他に甘えてしまいます。成長速度が圧倒的に遅くなります。

マネージャーの立場から考えてみても、何か問題が発生したら「名札に書いてある通り研修中ですから」と言うためのエクスキューズにはとても便利です。逆に言えば、その言い訳をする余地を残しているから、マネージャーも新人を成長させようという動機も弱まることになります。

お客に失礼って気付いてる?

さらに、この研修中の名札はお客の立場から考えてもおかしいことに気づいているでしょうか。「全く同じ料金を払って何でオマエの店のOJTに付き合わされるのか」ということです。研修中と記載したいのであれば、彼(女)が接客した人は全て割引にしてしかるべきです。

ちなみに、今までお客の立場で「研修中」の名札をご覧になられたことがあると思います。もしそこに違和感を感じなかったとしたら。。。お客に価値を提供するべき経営者としては、ちょっとヤバいと思った方がいいです。

もちろん「おかしい」と感じた上で、研修中の人に対して優しく接してあげるというのは、個人の自由ですが。

たかだか1万円

話を戻すと冒頭の友人の店でも研修中の名札を付けていたのです。そこでその名札をつけることを禁止するようにアドバイスしました。研修中の名札を付けている間は50円時給が安くなるという制度もついでに廃止させました。それもやっぱり甘えを生む原因になるからです。

1時間50円、研修期間中でたかだか1万円の人件費が削ろうとする、そのケチ具合が「スタッフを軽視している」というメッセージになってしまいます。それよりも「通常スタッフと同じ時給だから、早く成長しろ」と言ったほうがよほど費用対効果は高いです。

ちなみに友人からはマニュアルやらなんやらのチェックもして欲しいと言われましたが、とりあえずそれは無視しました(笑)

立場が人をつくる

3ヶ月後、別の機会に彼とご飯を食べにいったときに話を聞くと、スタッフの育成スピードが3分の1程度になったそうです。既存スタッフも新人スタッフも甘えがなくなり、いい意味で緊張感が出たということ。VIPルームと3年間食事無料を手に入れた瞬間でした(笑)

難しいことを自分で乗り越えた時に、人は成長します。そして、甘えられる余地を残しておくと、そこに逃げ込んでしまいます。

これは新人教育には限りません。成長してから立場を与えようと考えているといつまでたっても成長しません。立場を先に与えてしまうことで、そこに追いつこうとグンと成長します。もちろん何かあった時のサポート、セイフティネットを設けておくことが重要ですが。

つまり、人が育たない理由は、本当にどうしようもない人材を採用してしまったか、あなたが人材を信じてあげられていないか、どちらかの理由しかないということです。

北岡 秀紀

マーケティングコンサルタントであり、コンサルタントを指導するコンサルタントでもある。これまで約900以上のクライアントのコンサルティングを実施し、数々の店・中小企業・オンラインショップの売上改善を果たす。その成功率は91.7%を誇る。(2011年10月現在)単に机上の空論ではなく、「自身で実証済みのノウハウだけを伝える」ことを信条としている。年商1億円を突破したい社長向けの情報サイト『オクゴエ!』を主宰。また、自身のノウハウを受け継ぐコンサルタントを育てるプログラムを主催しており、一人あたりの参加費は350万円という超高額にも関わらず、申込が殺到。参加希望者の77%以上を断っている。

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