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このイケてない車が大ヒットした理由

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From:藤岡将貴

これはドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲン社のビートル。

1938年の生産開始以来、2003年まで半世紀以上も生産が続き、世界の自動車市場で大きな成功を収めました。四輪自動車としては世界最多の累計生産台数「2152万9464台」の記録を打ち立てた伝説的な大衆車です。

アニメ映画「カーズ」にも登場して絶大の人気を誇り、最大の市場となったアメリカへの進出は1949年。当時、ゼネラルモーターズ、クライスラー、フォードといったビッグ3が工場を持っていたデトロイトの自動車メーカーは、「より長く、より低い」車をずっと生産していました。毎年、新モデルが発売されるたびに、無駄がそぎ落とされて、「より長く、より低い」が洗練されていきました。そこへドイツからやってきたのが、寸詰りでどてっとした、このフォルクスワーゲンのビートルでした。

イケてないビートルがアピールしたこととは?

当時「より長く、より低い」車が市場を支配していたアメリカでは、ビートルのこの姿は弱々しくてイケてないと思われるでしょう。では、ビートルはどんなアピールをして人気を得たのでしょうか?

寸詰りでどてっとした”短所”を隠して、燃費や安全性をアピールしたのでしょうか?いえ、そうではありませんでした。フォルクスワーゲン史上、もっとも効果をあげたビートルの広告は、こんな広告でした。

「シンク・スモール」

たった二語のこのシンプルなコピーで、「より長く、より低い」が良いとされていたアメリカの人々の常識を覆して、大成功を納めることができたんです。

ビートルのアメリカでの成功の秘訣。それは、市場の主流のポジションとは違うポジションをとったこと、と言えます。名著「ポジショニング戦略」には、ポジショニングとは「穴を探すこと」と書かれています。市場の穴を探してそこを埋める、ということですね。「より長く、より低い」無骨な男らしい車が主流だったアメリカの自動車市場では、コンパクトでかわいらしいビートルは完全に市場の穴だった、というわけです。

市場の穴の見つけ方

では、そんな市場の穴はどうやって見つけたらいいのか?

例えば、価格。僕がぱっと思いついたものですと、「プレミアム・モルツ」というビールは、初めて高級ビールというポジションを明確に打ち出したビールだった記憶があります。たしか、当初は「モンドセレクション金賞受賞」というコピーも高級感を裏づけるものとしたアピールされていました。

他には、性別。テンガロンハットを被り馬にまたがったカウボーイの広告で有名な「マルボロ」は、タバコ市場で最初に「男のタバコ」というポジションを明確に確立して、10年間で売上5位からトップに踊りでました。もともとタバコ自体は男性が愛用するようなイメージがありますが、マルボロが明確にワイルドでかっこいい男のためのタバコ、をアピールすることで大ヒットとなりました。

イメージとは逆にアピールして成功した例もあります。もっとも女性的なブランドが成功すると思われている香水市場で、世界一売れているブランドはシャネルではありません(僕は香水にまったく詳しくないので、シャネルくらいしか知りませんがw)。実は、世界一売れている香水は、レブロンというメーカーの「チャーリー」という香水です(2008年当時の話なので今は違うかもしれません)。チャーリーとはアメリカでは男性によくつけられる名前。史上初めて男性の名前をつけたこの香水は、広告でもパンツスーツ姿の女性を起用して大成功しました。これこそ、市場とまったく逆のポジションをとって成功した顕著な例と言えるでしょう。

もう1つあげると、顧客ターゲット。僕たちザ・レスポンスのお客さんで、社会保険労務士の宮里さんという方がいらっしゃいます。社会保険労務士は現在、全国に4万人以上いますが、みんなBtoBの企業をターゲットとして、就業規則や社会保険の手続きなどの書類作成をする、というポジションを取っているそうです。ですが宮里さんは、BtoCで個人の方をターゲットとして、うつ病患者の障害年金に特化した社会保険労務士、というポジションを取ったことで、ITや弁護士に仕事を奪われつつある業界内で、着実に事業を成長されています。

他にも、年齢(化粧品の「SKII」は「40過ぎたらSKII」のコピーで40代以降の女性をターゲット)、時間帯(缶コーヒーの「モーニングショット」は「朝専用缶コーヒー」でヒット)なんかもあります。

ポジショニングのポイント

ポジショニングで大事なポイントがあります。それは「市場で一番最初に名乗りをあげる」ことです。後続商品であっても問題はありません。名乗りをあげるのが最初であればいい、ということです。最初にご紹介したフォルクスワーゲンのビートルが発売された当時、アメリカには他にも小型車はありました。でも、誰もそれを1つのポジションとして確立していませんでした。そこに後続のビートルがコンパクトな自動車というポジションをとって、それを広告で大きく打ち出したことで、市場の中で”初めての”コンパクト自動車という地位を確立することができたんですね。

ポジショニングの間違い

ポジショニングを考える際に、やってはいけない間違いがあります。それは、お客さんの頭の中の穴を探して埋めるのではなく、自社商品のラインナップの中の穴を埋めることです。この失敗の典型的な例が、フォードの「エドセル」という車。中型車のこの車は自社のラインナップの間の穴を埋めるために作られた、社内的には素晴らしい車でした。でも、すでにアメリカの中型車市場にはたくさんの車が存在していて、「エドセル」が入る隙間はありませんでした。

もう1つよくある間違いとしてあるのが、「他よりいい」というポジションです。これをやってしまうと、そんなに他よりいいなら、なぜ、市場でトップじゃないのか?と疑われかねませんので、これは逆効果です。人間は他より良いもの、にはそれほど魅力を感じないものです。他とはまったく違うもの、に魅力を感じる生き物です。なので、市場の主流のポジションと逆のポジションは取れないか?それはどんなポジションか?を考えるようにしてくださいね。

さて、あなたの市場ではどんなポジションが取れるでしょうか?お客さんの頭の中にどんな穴があるでしょうか?一度考えてみてはいかがでしょうか??

-藤岡将貴

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藤岡 将貴

大学卒業後12年間、システム・エンジニアとして自社開発プログラムの企画・開発に従事。その中で、いかにして商品を売るかを模索してきた中で、セールスライティングの技術にその可能性を感じ、【ザ・レスポンス】の「12週間セールスライティング通信講座」でセールスライティングを学び始める。その後、2013年に第1期メンバーとして参加した「セールスライター養成講座アプレンティス」をキッカケに、翌2014年にダイレクト出版に入社。寺本隆裕の監訳本のPPC広告担当を経て、現在は、ダイレクトメールの企画・作成を主に、プロモーションの企画とセールスライティングを担当。

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