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見込み客が今求めるもの

2013.6.8 | ,
  •  

From:中森清久

“ズキーン”“ズキーン ズキーン”

「痛い」とにかく痛い。
昨日から痛かった歯の痛みが、急激に増してきました。

治療中の歯の奥に、親知らずの歯があります。
まっすぐに生えているので、これまで抜かずにそのままにしておいた親知らずなのですが。。。

痛い。
こんなに痛くなったことは、今までありません。

とにかく痛い。
ここまで痛いと気になって気になって、何をしていても、手につきません。

仕方が無いので、歯医者さんに痛み止めでももらおうと思ったのですが。
こういうときに限って、いつも行っている歯医者さんはお休み。

仕方がないので、インターネットで検索して近くの別の歯医者さんを探します。
そうすると、よく行くショッピングセンターの2階に歯医者さんを見つけました。
ホームページによると、歯の治療はもちろんのこと予防を大切にしている歯医者さんのようです。
来院したお客さんの声も良い評判ばかりです。

“よしここだ”
すぐにスマホを取り出して、電話をかけ現状を詳しく説明した後、最後に、
「急で申し訳ないのですが、歯が痛くて仕方がありませんので、一度、見てもらえませんか?」
という申し出をしました。

そうすると、若い女性のオペレーターが親切に対応してくれます。

「大丈夫ですよ。何時ごろ来ることができますか?」

うれしいですよねぇ~。予約制にもかかわらずこの対応です。
そしてありがたいことに、30分後の予約をいれてくれました。

うーん。感謝です。

しかし、電話で話された言葉の中に、1つだけ気になる単語がありました。

カウンセリング。
初めての人には、カウンセリングを実施しているので、その時間が必要だということらしいです。

30分後予約した歯医者に到着。
入口の扉を開けると、広く開放的できれいなロビーがあり、若くて美人の女性が受付に座っています。

「予約した中森ですが」
というと、かわいい笑顔で、「はい。では、こちらの問診票にご記入ください」
ということで、問診票に記入。

名前 中森清久性別 男性
来院の動機は「歯が急に痛みだしたので、今すぐなんとかしてほしいから」
などなど、A4サイズの用紙の表と裏にびっしり書かれた質問に答えました。

書き終えてしばらくすると、受付の女性とは別のコンシェルジェと名のる若い女性がやってきて、問診票を見ながら質問を確認していきます。
質問の最後に、今日はどうされました?ここで2度目の説明です。

いつも通っている歯医者さんは小さいので、1度歯科医に説明すれば終わるのですが、今回は、突然と言うこともあり、2度目の説明。
歯が痛くて、早く何とかして欲しいのですが、仕方ありませんので、現状を話しました。
で、コンシェルジェの出番は終了。

さらに、5分ほど経過すると、ようやく受付から奥の方へ案内してくれました。
奥に行くにつれて、医院の大きさがはっきりしてきます。

広い。とにかく広い。
広~いと思いながらも、嫌な予感は止まりません。

会計をするための待合室には、座席が30席ほどもあります。
診察室は6~7室。
そして、わたしが案内された相談室も6~7室あります。

相談室は、扉がないオープンスペースで面積は2平方メートルぐらい。
壁側に沿って細長い机があり、壁を向かう方向に患者と歯のアシスタントが座るように椅子が2つあります。
机の上には、歯に関する本が10冊ほどと、人間の口の模型が1つ。
それ以外に、虫歯の進行を説明するチラシが1枚あります。

虫歯の初期から、最終的な抜歯までを説明しているチラシを読むともなく見ていると、アシスタントと名乗る若い女性の登場です。
若い子ばっかりやなと思いながら、「これからカウンセリングを始めます。」という言葉に嫌な予感はますます高まります。

「80歳までに、歯を何本残したいですか?」
「20本ぐらいかな」(歯が痛くてそんなこと、今、考えられません)

「歯磨きは、朝昼晩3回実施されてますね。すばらしいです。」
「ありがとう」(いやいや今は、そんな話はいいからこの痛みをなんとかしてくださいよ)

「1回の歯磨きの時間は5分なんですね。長いですねぇ~」
「他の人は、何分ぐらいですか?」(いつ治療してくれるのかなぁ~)
「2~3分ぐらいですよ。」
「そうですか。結構、短いんですね」(お願いですから、早く治療してください)

・・・・

カウンセリングですから、質問攻めにされるのは仕方ありませんが。
受付から奥に案内されたら、痛い歯をなんとかしてくれるんだという期待でいっぱいです。

でも、期待は満たされず、歯が痛くて、イライラは募りっぱなしです。
そこへ、驚くべき質問がきました。
「歯医者に通って、最も嫌だったこと一番、困ったことは何ですか?」

うーん。これは。。。。正直に答えていいんだろうか?
丁寧に対応してくれる若い女性に、イライラをぶつけても仕方がないし、でも、気のせいとは思うけど、歯の痛みは増大中。
でも、ここで、正直に話す方が、この医院のためかも。
と、頭の中でぐるぐる考えが巡ります。

この間、5秒ぐらいでしょうか。。。
アシスタントの女性は、笑顔で返答を待っています。
「正直に答えていいの?」と聞くと、
「はい。お願いします」とのこと。

「うーん。でも、なぁ~。答えたら、あなた困るよ」と念を押しましたが。。。、
笑顔で「大丈夫です」という返事です。

では、ということで、なるべくイライラ感を出さないように、
アシスタントの女性を傷つけないように、落ち着いた冷静な声で
「今でしょ!」と返答しました。

そして、できるだけ優しい声で、なるべく丁寧に現状を説明しました。
歯がズキズキ痛むこと、できたら早く治療をして欲しいこと、この説明は3度目のことなどなど。

アシスタントの女性は、この説明を聞いてさすがに顔が少し青ざめましたが、すぐに歯科医のところに飛んでいき、何分後に治療可能かを聞きにいってくれました。

ありがとう。本当にありがとう。あなたのその行動力に感謝します。

この話は、歯医者さんの対応が悪かったとか
歯が痛いのにさっさと治療してくださいとか
虫歯を予防しましょうとか
そのようなことを伝えたいのではありません。

いろいろと書きましたが、歯医者さんには、突然押しかけて見ていただいたことに本当に大変感謝しています。
伝えたいことは、お客さんがどういう気持ちなのかを知って欲しい。
ということです。

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今、見込み客が悩んでいることを解決しているものかどうかという点です。

今回、わたしは歯が痛くて、とにかくなんとかして欲しい。
できれば、痛みをとって欲しい。と思っています。
今の悩みですね。
この悩みを、今すぐ、なんとかして欲しいわけです。

老後の歯の数の話や歯磨きの回数・時間の話が大事なことはわかりますが、今、その話を聞きたいわけではありません。

とにかく、今、目の前にある痛みを取り去って欲しいわけです。

あなたのお客さんも同じです。
まずは、今の悩みをとにかく解決して欲しい。解決する方法を知りたがっています。
将来が大事なことだと言うことはよくわかりますが、今すぐ、知りたい(解決したい)わけではありません。

今の痛みを解決しなければ、将来のことを考える余裕はありませんので。

-中森清久

※アシスタントさんが聞きに行ってくれてから、なんと5分後に治療していただけました。
痛みの原因は歯と歯茎の間に菌が入って歯茎が化膿していたためだそうです。
痛み止めと抗生物質を処方してもらい痛みは徐々に収まりました。
突然の来院にもかかわらず、快く見ていただき本当にありがとうございました。
感謝です。

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