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たとえ王様であっても、、、、

2014.3.1 | ,
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From:中森清久

“この部屋では、わたしのルールに従ってもらいます” by ライオネル・ローグ

吃音(きつおん)に悩まされていたイギリス王ジョージ6世とオーストラリア出身の言語聴覚士ライオネル・ローグの友情の物語である「英国王のスピーチ」を見たときに、感動したフレーズです。

※吃音とは、ことばの音や音節をひんぱんにくり返したり、中断したりして、会話がりゅうちょうに進まないことです(kotobankより)。

第2次世界大戦中にイギリス国民を鼓舞すべく、数多くのスピーチを行ったジョージ6世ですが、そのかたわらには、常に、ローグがいたと最後に書かれていました。熱い友情ですね。

そんな熱い友情を感じながら、実は、わたしはライオネル・ローグの専門家としての発言に釘付けになりました。

冒頭に書きました、“たとえ、王様であっても、この部屋では、わたしのルールに従ってもらいます”はもちろんのこと。

“レッスンは、全てこの部屋で行います” “診察室では、私たちは平等だ” などなど。階級社会であるイギリスならではのセリフもありますが、なかなか言える言葉ではありません。ましてや、王様(当時は、王子さま)に向かって、断言できるでしょうか?

映画の中では、ジョージ6世がクライアントになったきっかけが次のように、描かれています。

自分自身の声を聞こえないように、大音量のクラシックが流れるヘッドホンをつけた状態でシェイクスピアの「ハムレット」を読み上げてもらい、最新の録音機(レコード盤)を用いて録音します。

しかし、態度があまりにも失礼だったためでしょうか? それとも、方法論が他と異なっていたためでしょうか?

ジョージ6世は、怒りながらローグの治療室を後にします。ですが、その直後、再び、演説に失敗してしまいます。失意に沈んでいるときに、ローグから手渡されていたレコード板を思いだして再生してみました。すると不思議なことに、吃音の症状はまったく出ていません。後ろで聞いていたエリザベス王妃もびっくりです。これが、ジョージ6世はローグの治療を受けるきっかけです。

“ハムレットをなめらかに朗読できた”という成果を出したことが、直接のきっかけであることは間違いありません。 結果を出すことは大事なことですから。。。

しかし、わたしは、治療を望んだ背景にもう1つ別の要因があったと判断しました。別の要因とは、ジョージ6世が少々失礼だと感じるような、自信満々に断言したセリフです。なぜ、そう判断したのかを説明しますね。

我々、日本人の美徳の1つとして、よく上げられるものに、“謙虚さ”というものがあります。謙虚さとは、控え目で、つつましいこと。へりくだって、すなおに相手の意見などを受け入れることです。とてもすばらしいものだと思いますが、その裏返しとして、何かを自信満々に語るという文化があまりありません。

具体的にいいますと、あなたが、良い食材を使い、丁寧に下ごしらえをしてじっくりと煮込んで鍋料理を作りました。味見をしてみると、最高の出来映えです。さて、この料理をお客さんに振るまうとき、何と言うでしょうか?

・・・・・・

「丁寧に下ごしらえをしたので、この料理はきっと美味しいと思います」

「じっくりと煮込んだので、きっとお口に合うハズです」

自らへりくだり、謙虚に発言します。すばらしい文化ですね。

しかし、「良い食材を使った最高の料理です」と断言されれば、お客さんはどう感じるでしょうか? 嫌みに感じますか? 偉そうに感じますか?

さきほどの「・・・・と思います」とか「・・・・のハズです」と 比較してみて下さい。

・・・・

「お口に合うハズです」といわれると、「本当?」と思いますが、「最高の料理です」と言われると、ついつい食べたくなります。このように、断言することによって、言葉に力が加わります。

具体例として、料理の話を書きましたが、これは料理に限った話ではありません。あなたのビジネスにおいても同じ事が言えます。その筋の専門家として、あなたは断言しなければなりません。少なくとも業務に関することについては全てです。なぜなら、断言したもの言いをしなければ、お客さんが信頼してくれないからです。冒頭のローグの発言を思い出して下さい。

“王様なので、この部屋では、あなたの意見を、真っ先に尊重します”

・・・・・

これでどうやって指導するのでしょうか? 指導方針が王様の気に入らなければ、王様の気に入るように変更するのでしょうか? それで、本当に治療ができるのでしょうか?

あなたが王様であっても、吃音に関しては素人なので、専門家であるわたしの指導にしたがっていただきます。と言わなければ、治るものも治りません。これが、“たとえ、王様であっても、この部屋では、わたしのルールに従ってもらいます” ですね。プロとしての誇りを感じますし、何よりも頼もしいです。

この言葉があり、“ハムレット”で成果を出した結果、ジョージ6世は、治療を決断したというわけです。

今日から、ビジネスの場面において、「・・・と思います」や「・・・のハズです」は封印して、「・・・・です」と断言して下さい。それだけで、あなたを見るお客さんの視線が変わってきます。

※もしかすると、あなたはあなた自身のことを専門家だと考えていないかもしれません。しかし、お客さんと比較すると、あなたの方があなたの商品・サービスについては、ずっと詳しいです。そういう意味で、あなたは立派な専門家です。ぜひ、自信をもって断言してください。

ー中森清久

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