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社員に経営者意識をもたせる技術

2013.5.8 | ,
  •  

From:1日3時間しか働かない資産家型経営者 鈴木しゅん

「社長の俺ばかりが苦労して働いているのに社員はろくな成果もあげてこない。そればかりか業績が悪化しているのに、当たり前のように給料をもらっていく…。経費だって湯水のごとく使い、会社のために節約すらしてくれない…。」
なんてストレス…。
多くの経営者が持っているストレスだと思います。

何故こうなってしまうのか…。
それは極々当たり前のこと。
社長も社員も自分のこと優先だからです。

社長と社員の頭のなか

社長は24時間会社のことを考えていると思います。
会社が少しでも良くなってくれるように常に会社の問題で悩み、家族団らんの日曜日でも会社のことが頭から離れません。
また社長は会社の中で誰よりも多くのリスクを負います。
融資を受ければその連帯保証人となり、事故が起きれば社長がその責任を追求されることもしばしばです。

社長の頭のなかは常に会社が良くなってくれることでいっぱい。
会社に多くの利益が上がりますように…、会社が無借金になれますように…、会社のスタッフが業績をあげてくれますように…、会社に事故が起きないで1年が越せますように…、などと常に考え、社長自ら先頭に立って社員の誰よりも一番働くのが一般的です。

一方で社員の頭のなかは…というと。
自分の給料、自分が奥さんからもらえるお小遣いの金額、定時に帰れるのか、上司との人間関係、週末のプライベートの予定、自分の老後、自分の趣味、自分が本来やりたい仕事、自分の子供の将来、自分が抱える住宅ローン、などで頭がいっぱい。
会社の業績どころではありません。

極端な話、社員からしてみれば会社の業績より自分の小遣いの方がよっぽど重要な問題なのです。
自分の営業成績は知っていても会社全体の業績なんて関係なしです。

ほとんどの社員が会社の業績を知らないと思います。
もちろん会社の業績が上がってボーナスが倍増すれば社員のお小遣いも増えるかもしれません。
でも社員の頭のなかではそれが直結していないかもしくは、業績が上がってもボーナスが増えない会社もあるので、そんな会社にいる社員は常に業績に興味が無いのです。

社長はそもそも多くのリスクを取って、多くのリターンを得られるから誰よりも一生懸命働いています。
そして多くの中小企業は、社長イコール経営者です。
会社の業績が良くなるということは株主である社長自身に利益が還元されるということ。
つまり社長も社員もまさに自分勝手。
互いが「わがまま」に自分のことばかりを考えているので組織がうまく機能しないことが多いのです。

動機は不純な方が良い

では、社員が自分のプライベートの事ばかり考えている状態をどうやったら脱することが出来るか…。
社員に経営者意識を持たせるにはどうしたら良いのか…。
それには会社の業績が良くなれば、社員に還元される仕組みが必要です。

反対に会社の業績が悪くなれば、社員の取り分が減る…。
このように業績と社員の取り分が連動する仕組みが必要です。

私が経営する造園会社は従業員数20人以下の小さな会社。
そんな会社が採用している社員のモチベーションを維持しながら、社員が元気に働ける仕組みを説明します。

まず給料…。これは社長の湯加減さじ加減で決めます。
社長が自分勝手に決めます。
50人以下の会社では昇給基準など細かく設定すると自らの首を絞めるので社長が直感で決めるのが正しいです。

ただし社長自身の中である程度の一定のルールは持っておいたほうが良いです。
でもその基準は社員には非公開。
社員が知る必要はありません。

では、どこで会社の業績と社員の取り分を連動させるか…。
それは賞与です。
うちの会社の賞与支給基準はグループ全体の営業利益の10%を賞与として社員に分配するというルールがあります。
これをある一定の社員間の競争で得た点数により配分します。
だから賞与は常に明確です。
もちろん業績が悪ければ賞与も無しです。

賞与の支給基準が決まっているので、繁忙期などで仕事が忙しくなった時に、普通なら「社長、もう一人採用して下さい」とお願いをされるところが、余分な人を採用すると自分たちの賞与が減るので、採用しないで仕事を効率化してその場を凌ぐという行動に社員が出ます。
まさに自分自身の生活と会社の業績を連動しているからこそ出てくる判断です。

これが会社の業績とは関係なく、業界の平均的な賞与をただ単に出してしまっている会社の社員だったら、仕事が忙しくなれば1人追加してくれというお願いをすることになります。
当たり前ですよね、自分の取り分が同じなら楽な方がいいに決まっている…。

自分勝手な不純な動機ですが、忙しくても仕事を効率化して頑張るのはまさに「経営者意識」そのもの。
キレイ事を並べて、自分の取り分が増えも減りもしないところに「みんなでこの場を凌いで業績をあげよう!」と社員の誰かが言ったとしてもそれは長続きしません。
自分自身の損得に関係が直接あるから、自分に得な方を選ぶのが正しいのです。
不純な動機でも行動が伴えばそれで良いのです。

それを社長が性善説を信じて、うちの社員なら会社の為を思ってくれるに違いないなどと奇跡のようなことを信じるのはまさに社長失格です。
業績が良くなっても悪くなっても社員の懐に影響が出る仕組みをつくって下さい。

ちなみに、この仕組みは給与でやるより賞与のほうがオススメです。
給与だと雇用契約に縛られるので、極端な変動は認められませんし、固定給で慣れた皆さんの社員や奥さんが困惑します。
それよりも生活給とは直接関係のない賞与のほうが、変動させるのには馴染みやすいです。
まずは賞与から業績連動の仕組みを入れることをオススメします。

最後は星野仙一流で。
それでも給与や賞与は奥さんに握られている社員も多いかと思います。
それに対処する方法は、業績を上げた社員には社長が身銭を切って小遣いをあげて下さい。1万円でも2万円でもいいです。
源泉徴収票に出てこない給与以外の奥さんに内緒の「裏金」を頑張っている社員にあげるのです。
そのために経営者の役員報酬を上げておいて下さい。

まさにプロ野球の星野仙一監督がやっている手法そのもの。
たまに社長のポケットからあげるのです。
一家の大黒柱である男性社員でも一家の家計を握っているのは奥さんという家庭がほとんど。
こんな中、給料をあげてしまっては社員に直接還元されません。
誰だって奥さんに内緒で自由になるお金はほしいもの。

もしそれが必要ない人は、社長がポケットからあげた小遣いを奥さんにそのままあげれば良いのです。
でもわたしの社員はそうはしません。
私があげた小遣いでスナック通いやここでは言えない場所で使ったり、まさに社員個人のために使います。

そんな自由は他の会社では持てないので、奥さんが会社を変えることをすすめてきても社員はうまくはぐらかし、うちの会社に残ろうとします。
業績変動型のボーナスと業績変動型の奥さんに内緒の「裏金」…。
この2つで業績を上げて頑張ろうとする経営者意識を持った社員が育ちます。

動機は不純な方が良い…。

本日はここまで。

ー鈴木しゅん

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