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自分自身のビジネスを客観的、分析的に視る

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From:ダン・ケネディ

From:ダン・ケネディ

今回は、良い機会なので、私のお気に入りのお金儲けを題材にお話しします。
それは、「どうすれば、自分自身のコンサルタントになることができるか」についての話だといってもよいでしょう。

私が企業のコンサルティングを行なう時、私の助言が、後になってみれば、誰が考えてもすぐに分かりそうなほど、当たり前のことだったということがよくあります。
しかし、私がコンサルティングを行うまで、誰も、そのことに気付かなかったのです。

自分自身のビジネスを客観的、分析的に視ることは、とても難しいのです。
しかし、他人からすれば、それはとても簡単です。
これこそ、コンサルティングの基本なのです。

しかしながら、いくつか助言はできます。
それによって、お金を出して社外のコンサルタントの助力を仰がなくても、自分で、自分自身のビジネスに潜んでいる大きなチャンスを見つけ出すことができるかもしれません。

ほとんど全てのビジネスには、未だ手が付けられていない成長のチャンスや、不合理な負担が存在します。

問題を抱えた企業に関わることになったコンサルタントは、多くの場合、それぞれの企業が、商品なり、部門なり、顧客の種類なり、あるいはマーケティングの方法なり、何らか、それ自体の価値以上にコストがかかっており、削減されるべきもの抱えていることを発見します。

私の経験では、このことは、ほとんどの場合に当てはまります。
あなた自身のビジネスをじっくりと分析してみたらどうでしょう。

ビジネスのさまざまな側面から、それぞれにどれだけコストがかかっているか、細かく検討してみるのです。

あなたの会社の不合理な負担を見つける方法

あなた自身のビジネスをじっくりと分析する際、たいていの場合、ビジネス構成には、80/20の考え方が当てはまります。

あなたのビジネスの20%が、あなたの儲けの80%を稼いでいるかも知れないのです。
そして、あなたの抱える問題の80%が、あなたのビジネスの20%の部分に起因しているかも知れないのです。

この場合でも、その両方の20%が同じ部分で無い限り、あなたのビジネスは大丈夫です。

このような分析を行なうと、その結果、ビジネスを広範囲にわたって設計し直さなければならなくなることも少なくありません。難しいことですが、それを受け入れるべく、十分に心構えをしておくようお勧めします。

例えば、私が以前、オーナー兼経営者をしていたジェネラル・カセット社では、音楽プロダクション・ビジネスから完全に撤退し、印刷業へと転換しました。

音楽ビジネスは、売上のかなりの部分を占めており重要に思えましたが、利益の上では、ほんのわずかの部分にしかならず、会計上の問題の、かなりの部分を占めていました。

また、音楽ビジネスを続けるには、別の機材や在庫が必要でしたが、10%に満たない利益を稼ぐために、利用できる在庫予算の相当な部分を費やしていたのです。

このような分析を受けて、ある日、我々は「音楽ビジネスから撤退しよう」と決めました。
これは、この会社のビジネスを、文字通り、再定義し、再設計するものでした。

問題企業の経営再建から学ぶもう一つの教訓としては、ほとんどのビジネスにおいて、商品によって、あるいは、マーケティングの方法によって、ブレイクスルー(現状打破)を実現できるということです。

どのビジネスにもある、2つのブレイクスルー

では次に、商品によるブレイクスルーか、あるいはマーケティングによるブレイクスルーか、ということについて話したいと思います。

この2つのブレイクスルーは、ほとんどのビジネスに存在するものです。実際のところ、多くの場合、経営再建の核心は、このようなブレイクスルーなのです。

顧客にアピールするように商品のパッケージのやり方を新しくしたり、新商品や新サービスを打ち出したりするかもしれません。
あるいは、今ある商品やサービスについて、全く新しいマーケティングの方法を見つけ出すかもしれません。

ビジネスマン向け製品の通販で成功しているシャーパー・イメージ社は素晴らしい企業ですが、ある時点で、通販会社としての同社の収益は、そのピークに達したように見えました。

さらに成長を続けるには、商品によるブレイクスルー(おそらくは、同社の顧客の興味を引くような、全く新しい商品ライン)か、あるいはマーケティングによるブレイクスルーが必要でした。

社長のリチャード・タールハイマーは、マーケティングによる手段を選択し、いくつもの主要都市に、数百店ものシャーパー・イメージ・ストアをオープンさせたのです。

ブレイクスルーの実例

何年か前、自己啓発、自己開発会社のナイチンゲール・コナント社は、そのビジネスで、大きなブレイクスルーを成し遂げました。

他社に先駆けて、新しいタイプのオーディオ・カセット・プログラムとでも言うべき商品を売り出し、劇的な成長を遂げたのです。この商品は、ベストセラーの書籍を元にしたテープ・アルバムでした。

私の本職であるインフォ・マーケティング・ビジネスにおいて、我々は、マーケティングの方法によるブレイクスルーを生み出しました。
高額なオーディオ・カセットやCDコースを販売する方法を、依頼に基づいて、新たに作り出したのです。

あなたがマーケティングしようとする個々の商品やサービスについて、それを売るのに、新しいマーケットが他にないか、あるいは、新しいマーケティングの方法が他にないか、常に考えていなければなりません。

時代に合わせたブレイクスルー

化粧品販売のエイボン・プロダクツ社は、このような考え方に沿って、マーケティング戦略を変化させてきました。彼らの取り組みは興味深いものです。

従来のやり方は、もちろん、エイボンレディが売るやり方です。
「エイボン・コーリング(エイボンからうかがいました)」というやり方です。

しかし、さまざまな理由から、このような方法では売上が落ちてきていました。
より多くの女性が外に働きに出るようになって、エイボンレディが訪ねて来ても、家には誰もいなくなりました。

また、女性が、もっとさまざまな、もっと稼げる仕事に就けるようになって、エイボンレディを採用し、雇用し続けることが、これまで以上に難しくなってきました。

これらの困難に対して、エイボンでは、いくつも興味深い取り組みを行いました。

一つには、エイボン・ファッション・カタログを使って、通販によるマーケティングを始めたことです。
エイボンという名前、評判、そして、疑問の余地は無いですが、エイボンレディによって集められた顧客名簿を活用して、エイボンは、女性ファッションの通販会社になることに成功しました。

そして、それによって、セールスレディの組織を飛び越えて、直接、顧客に商品を販売するようになったのです。

また、最近では、仕事が終わった後、自宅を訪問して商品を売るのではなく、セールスレディが、その会社の同僚にエイボン製品を販売できるような方法について、検討中であることを明らかにしました。

現代のエイボンレディは、フルタイムの仕事に就いていて、エイボン製品を売るのは、お小遣い稼ぎということだそうです。

さらにエイボンは、自社の名前や評判を利用して、全く別の化粧品シリーズを小売店に卸しています。

エイボンが、セールススタッフによる販売を続けたいと考えているのなら、彼らがそうしているとは、私は聞いていませんが、追求すべき戦略がもう一つ存在します。

第一に、セールスレディの収入機会を大幅にアップすること。

そして、第二に、女性だけでなく男性をも巻き込んで、夫婦がチームを組んで、一緒にパートタイムでエイボンの仕事ができるようにすることです。

第一の目標は、アムウェイ社などマルチレベル・マーケティングの会社のように、歩合によって給与が変わるようにすれば実現できます。

また、買収によって商品ラインを拡大することも有効です。

私がエイボンの経営者なら、例えば、プラスチック容器製造会社のタッパーウェア社のような会社の買収を考えるでしょう。買収によって、二つの会社の商品、販売組織を結集させるのです。

第二の目標についても、男性がマーケティングするのにふさわしい商品を売っている会社を買収することで達成できるかもしれません。
とはいえ、エイボンの経営陣が、ブレイクスルーの可能性について、慎重に検討し、いろいろと試しているのは明らかです。

これは、ビジネスを再定義し、より良いものにしようとする取り組みであり、今日の急速に変化するビジネス環境で成功を収めるのに、不可欠の考え方なのです。

ダン・ケネディ

ダン・ケネディ

ダン・ケネディは、毎年100万人以上の中小企業、大企業のビジネスオーナーや起業家に影響を与え、世界一多くの億万長者を生みだしている。そんな彼のことを、アメリカで最も億万長者を生んだ人として、「億万長者メーカー」と呼ぶ人もいれば、「21世紀のナポレオンヒル」と呼ぶ人もいる。 「日本一のマーケッター」にも選ばれた神田昌典氏も、彼の著書を監修し、絶賛のコメントを寄せている。

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