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起業家の最大の敵を知っているか?

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From:小川忠洋

From:小川忠洋

・何故、アイディアマンは成功しないのか?

沖縄のスタバより、、

起業家として、僕らは常に敵に囲まれている。その中でも最大の敵はあなたの税務署でも、競合会社ではない。(もちろんどちらも憎ったらしい奴らではあるが。。。)

最大の敵は最も身近にいる。先週の記事でペット用品のビジネスをやろうか?という話をしたが、その時もその敵は現れた。あやうく僕はその敵の誘惑にやられそうだったが、スタッフに救われた。

その敵は、ある「病気」である。起業家によく見られる特徴的な病気だ。特に結果の出ない起業家が陥っているのがこの病気。この病気にかかると、あなたの会社はゆっくりと落ちて行く。あまりにゆっくりなので、この病気にかかっている事すら認識する事ができない。その病気とは、、、

「起業家ADD」

ADDとは「注意欠陥障害」と言う病気で、簡単に言うと物事に対する集中力が続かない状態の事を言う。(耳が痛い?)

現代人は、どんどん集中力が短くなっている。何故なら僕らの周りにはTVやインターネット、ケータイ電話やEメールなど、注意を奪うツールがたくさんあるからだ。そのような生活に毎日さらされていると、1時間と同じ事に集中して取り組むことが非常に難しくなる。

結果として、集中できない自分が出来上がってくる。

起業家ADDとは、それのビジネスバージョンだ。つまり、一つのアイディアに集中できずに、スグに次のアイディアに飛び移ってしまう状態の事。新しいアイディアとういのは、いつだって既存のアイディアよりも魅力的なもの。だから、実際やってみて、結構しんどい既存のアイディアよりも美しい輝きをもった新しいアイディアに飛び移りたくなるもの。

これを日常的に繰り返していて、結局、何一つにも集中していない状態が起業家ADD。以前、僕の友人で起業しようとしている人がいたが、彼は会う度に新しいアイディアを持っていた。自分ではアイディアマンだと思っていたかもしれないが、アイディアとは実現してこそ意味があるもので、実現しないアイディアはただの妄想としか呼べない。

毎回、違ったアイディアを持ってはいるが、何一つ実現していなかった。次から次へと新しい事に取り憑かれてしまうのだ。

何故、こんな事が起きるのか?理由はいくつかある。

・ 起業家は性格上いろんな事をやりたがる

起業家は何かをスタートするのはとても得意だ。というかそれこそが、彼の使命であり、最もやりがいの感じる事だと考えている。だが一方で、それを運営して伸ばすのはとても苦手だという面がある。

経営コンサルタントのトムピーターズも言っていたが、「起業して、事業をあるていどの規模にしたら、次の人に手渡せ。そこから先、大きくするのはあなたには無理だ」という。

・ アイディア自体に価値を感じてしまう

優れたアイディアは圧倒的な価値をもたらすし、ビジネス上でもとても強烈な競争力となる。しかし、実現されればの話だ。実現されないアイディアには何の価値もない。アイディアが生まれた時点では、それそのものには価値は全くないのだ。これを忘れてはならない。

アイディアそのものに価値があるという勘違いは、たくさんアイディアを出していれば、いい仕事をしているという勘違いにつながる。現実にはアイディアをいくら出そうが、行動がともなわない限り、一歩も前に進んでいない。

・ 本能的に拡張志向がある

ビジネスマンとして、会社をどんどん大きくしたいという気持ちは本能のようなもので、抑える事ができない。毎年毎年、売り上げは伸びて行くのが理想で、利益が上がっていても、去年よりも売り上げが下がっていると、なんだかテンションが下がる。

この自然な超成長志向が、新しい事に手を出したくなる原因だ。新しい事は全くのゼロだから、それに手を出せば、その分一気に売り上げがあがる。既存の事業と新規事業で売り上げは倍だ。しかし短期的には既存事業は弱くならないが、長期的に見ると、既存事業、つまりメインのビジネスが弱くなる可能性が高い。

新しい事に片っ端から手を出して行くと、結果として、色んな事をやる事になる。すると、自分が何をやってるかが良くわからなくなってくる。そして、何よりそれがお客の目から見ると、あの会社は何をやってるんだろう?という風に映るようになる。

こうなったら、顧客獲得がかなり難しくなるのは想像がつくだろう。そして、この病気はほとんど誰もが格闘しているジレンマだ。僕自身も毎日のように格闘している。

では、どうすれば、この起業家ADDを克服できるか?答えは簡単だ。

「やらない事」

だ。当たり前っちゃー当たり前の事だが、当たり前だからといって、できるとは限らない。実際、多くの起業家は(僕も含め)これができない。やりたくてやりたくてうずうずするのだ。

そんな時、一つの勘違いが生まれてしまう。

「やれるんだから、やったほうがいい」

自分の考えたビジネスモデルとかアイディアは自分だけの独自のものだと考えるのは危険な思考法だ。それができるのは自分だけだと思わないほうがいい。そう考えると、やれるならやった方が良いと思うが、実際は逆だ。

それをやれる人、会社はいくらでもある。それなのにやらないのは何故か?この理由を考えたほうがいい。つまり、、

「やれるけど、やらない」

この状態があなたの強みを生む。そして、あなたの強みを強化する。例えば、スターバックスにとって、コンビニでコーヒーを出す事は「やれる事」だ。しかしこれをやると、サントリーとかキリンとか、全く違う競合と戦わなければならなくなる。そして、スタバのブランドの価値は落ちる。ぶっちゃけ、僕みたいなスタバファンにとっては「がっかり」なのだ。

短期的にはスタバは売り上げを上げたが、今ブランドの失墜で、株価は1/4くらいになってる。(ちなみに僕はスタバの株をもっていたので、ある日この事実を知って、テンションが激下がりした。。。涙)

例えば、楽天は元々ショッピングモールでスタートしたが今は何をやってる会社かよくわからない。しかし、アマゾンはどうだろう?アマゾンはやろうと思えば、楽天と同じような事を簡単にできるだろう。しかしやらない。「できるのにやらない。」だからエネルギーは自社のメイン事業にフォーカスしているので圧倒的なナンバー1をキープし続けている。

例えばあなたがイタリアンレストランをやっていて、「イベリコ豚でトンカツ定食を作ったら当たるんじゃないか?」と思いついたとする。そして、イタリアンレストランのメニューの中にご飯とみそ汁付きのトンカツ定食を作ったとしよう。恐らく、あなたのお店の評判はがた落ちだ。たとえそのトンカツ定食がめちゃめちゃ美味しかったとしてもだ。(忘れてはならない。マクドナルドでさえハンバーガーしか出してない。)

この病気「起業家ADD」は起業家の誰もが持っている病気だと考えていい。そして、これは言葉の通り、「病気」だ。特にスタートしたばかりの起業家、あるいは起業家志望の人たちによく見られる。

優れた起業家は自分の「守るべき場所」を知っている。あなたが出すべきなのは、「やれる事」のリストではなく「やれるけど、やらない事」のリストかもしれない。

「やれるけど、やらない」

これがあなたの強みを作る。

小川 忠洋

読者累計30万2163人を誇るマーケティングメルマガ『ザ・レスポンス』発行人、ダイレクト出版株式会社代表取締役社長。『ザ・レスポンス』の他にも、読者累計14万5000人の『デイリーインスピレーション』などを毎日発行。年間1億通以上メールマガジンを配信。日本ナンバーワン・マーケッターにも選ばれた神田昌典氏など、一流の経営者とも提携を結びビジネスを展開。著書に『自分を不幸にしない13の習慣』『フリーで利益を生み出す45の鉄則』『インターネットマーケティング最強の戦略』がある。

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