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反逆のマーケティング

2017.7.4 | ,
  •  

From:山田光彦

最近、本当に便利になってきました。

本を買うにもネットでAmazonにいって、クリックすれば翌日には本が届きます。
タクシーに乗りたいなら、Uberや全国タクシーのアプリを使えば、すぐに来てくれます。
電車に乗るときも、コンビニで買い物をするときも、スマホをかざせば、支払いは完了。財布を出す必要もありません。

「この辺で、おいしい食事を食べたい」「話題の映画が見たい」「何かがほしい」と思えば、スマホ1つですぐに必要な情報や商品を手に入れることができる、、、そんな世界がどんどん実現していっています。

より早く、より簡単に、より少ない労力で、顧客に価値を届けるということが、技術の進歩とともに現実になっています。ビジネスは、顧客に価値を届けて、その見返りに報酬をもらうこと。なので、これからもこの方向性で世の中はどんどん進んでいくでしょう。

実際、Amazonは東京の一部地域で野菜や果物などの生鮮食品を届ける「Amazon フレッシュ」をスタート。本屋で本を買わなくなっていったように、日用品もコンビニやスーパーに買いに行く必要すらない時代がきてしまうのかもしれません(一方で、Amazonは、アプリや人工知能の技術を使ってレジ決済をなくした、無人コンビニ「Amazon Go」も展開しているのが、すごいところ)。

顧客が求めるビジネスをそのまま追求するか…
それとも、これを逆手に取るか…

この流れに乗って、顧客が求める便利さを、さらに追求したビジネスを作っていく。そんな道が正攻法になるでしょう。ですが、正攻法な道には、大企業が入ってきたり、たくさんの人たちが参入してくることで、競争が激しくなってしまう可能性が高い一面もあります。

競争が激しい市場で顧客が安さを求めて来た時、僕たちのような小さな会社はかなり厳しい状況に追い詰められることになるでしょう。

ですが、、、こういった状況を逆手に取るかのような方法。ある意味、顧客を困らせることで、大きな成果を出してる会社もあります。

フェラーリの販売戦略
売るかどうかは、売り手が決める

数え切れないぐらい、たくさんの種類の車が販売され、競争の激しい自動車業界。そんな中で、大きく業績を伸ばしているフェラーリ。

2017年第1四半期(1月~3月)の決算は1億2400万ユーロ(約155億円)。前年が7800万ユーロだったのに対して、59%増という驚異的な伸びを見せています。

あなたもご存知だと思いますが、フェラーリは、とんでもなく高価な車。しかも、中古車になっても、あまり値崩れがしないどころか値上がりする車まであることで有名です。その理由を一言で表したのが、フェラーリの創業者エンツォ・フェラーリのこの言葉…

「需要より一台少なく作れ」
By フェラーリの創業者

実際、フェラーリがある新車をリリースする時、事前にどれぐらい買いたい人がいるのかを調査。その結果、400人の購入希望者がいることがわかったんです。そこで、フェラーリが399台で生産をやめることを発表。すると、400人どころか3000人を超える購入希望者が殺到したんです。でも、、、フェラーリは販売台数を増やすことなく、顧客の中から購入者を選別し、399名だけに売った、なんて話もあります。

他にも、2013年にフェラーリの会長が「中国で年に500台も売れてはフェラーリが独創的な存在ではなくなってしまう」ということで、中国市場への出荷を制限するなど、スマホで何でも手に入るのとは全く逆の状況。つまり「顧客が買いたくても買えない」状況を意図的に作り続けることで、業績を大きく伸ばしています。

もちろん、フェラーリだけではありません…

バーキンやケリーバックを売っているエルメスも同じような販売戦略をとっています。星の数ほどの種類が売られているバックの中で、とんでもない高い価格を出さなければ、買えないのがバーキンやケリーバック。それにもかかわらず、お客さんは欲しくても買うことが、なかなか難しい状況のようなんです。

あるサイトを見ていたら、バーキンを購入した人に対して「バーキンのご購入おめでとうございます!」といった、おめでとうメッセージがたくさん書き込まれていて、個人的には驚きました(男にはわからない世界ですね)。

新型のiPhoneが発売される時も、出荷台数は**台といった情報を出して、手に入らないかもしれないという顧客の不安をあおります。ダイヤモンドも高価なものですが、もし、希少なものではなくて、誰でも手に入れることができるものなら、ちょっとキラキラした、ただの石ころに成り下がってしまうでしょう。

何でも手に入る顧客が求めているのは、
手に入らないもの??

技術が進歩したことで、顧客は何でもすぐに手に入れることができるようになってきました。ですが、これを少し違う視点で見てみると、手に入らないものが不足している状況。いわば「不足が不足」している、という状況という風に見ることもできます。

子供の頃にドラゴンクエストやファイナルファンタジーといった人気ゲームソフトを発売日に買えるかどうか、とドキドキしたりすることはできなくなっているということです。このたとえは、僕と同世代でしかも男にしかわからないかもしれないですね。

なので、もう1つたとえを言うとしたら、あなたがどんな女性や男性でも夢中にさせることができるとしたら、、、どんな絶世の美女やどれだけ好みの性格をしている女性であっても、全員があなたのことが好きで好きでたまらない。そんな夢のような状態になったとしたら、、、最初は楽しいかもしれませんが、おそらく、すぐにそんな状況に飽きてしまうでしょう。そして、そんな中であなたのことを好きにならない女性が現れたとしたら、、、あなたが興味を惹かれることは間違いない、、、みたいな話ですかね。わかりにくいたとえかもしれないですが、、、まあ許してください。

ちなみに、この記事で言いたかったのは、希少性を高めて商品を売ればいい、ということではありません。言いたかったことは、フェラーリやエルメスの販売戦略は一見、顧客を困らせているようにも見えます。ですが、手に入らないものを手に入れたい、という顧客のニーズを満たしている、という見方もできます。手に入らないものがどんどん少なくなって来ているわけですから。

時代の流れが顧客が欲しいと言ったものをすぐに提供する方向に急速に進んでいます。なので、その流れにあわせてビジネスを進めていくこともできますが、あえて、逆の道を行くことでビジネスで成果を上げることもできる、というのが言いたかったことです。

どんな時代でも、時代に合わせた道を進むのか?
あえて逆の道を選ぶのか?
それはあなたの選択次第です。

ー山田光彦

山田 光彦

【ザ・レスポンス】の責任者兼チーフ・セールスライター。以前は、司法書士として事業をやっていたが、顧客を集める重要性を痛感し、セールスライターへ転身。現在、ダイレクト出版のマーケティング部門の事業部長を務める。

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