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ザッポスのUSP

2015.9.7 | ,
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From:小川忠洋

From:小川忠洋
大阪のオフィスより、、先週、他の視察企業の話をすると言ったけど、ザッポスについて、ちょっと話し足りない所があったので補足。ってか、他に行った会社(ネットフリックスとセールスフォース)は、マネジメントの話がほとんどだったので、ザ・レスポンスで話すテーマでもないんだよな〜。と言うわけで、今日はザッポスのマーケティングの話を、、ザッポスは「サービスがスゴい」とか企業文化がスゴいと言われていて、それで大成功したように考えられているけど、それじゃあ片手落ちというもの。というのも先週、報告した通り、サービスや文化がスゴいユニークだからって真似したら恐らくヒドい目にあうからね。

やっぱ、ザ・レスポンスだから、マーケティングの観点からしてどうだったのよ?という事を考えていかなきゃいけないでしょう。

ザッポスは優れたマーケティングをしていたのか?答えはもちろんイエス。ここを忘れちゃいけない。

優れたマーケティングで、顧客をたくさん獲得できたから、サービスの充実ができ、その結果、リピート率が向上するという結果になったわけで…

もし、顧客獲得に困っている会社が、優れたサービスを真似したところで、もちろん、効果はめちゃめちゃ低いわけよ。

だってそうでしょう?毎月10万人の新規顧客が来る会社だったら、優れたサービスでリピート率を10%伸ばせれば、1万人のリピート購入が生まれるわけだけど、毎月、100人くらいしか新規顧客が来てない会社だったら、10%upは、たったの10人のリピート購入にしかならない。

それだったら、新規客獲得にエネルギーを注いで、100人を1000人に1000人を2000人に、とする方が効果が高いでしょう。当然だけど、優れたサービスにはカネがかかるわけだからね。

だからザッポスにとってはとてつもなく効果的なサービス、施策であったとしても、あなたの会社で効果的であるとは限らない。

ビジネスは、業種や環境によって成功要因が大きく変わるもの。んじゃあ、そもそもザッポスはどうやって新規顧客を獲得したの?って話。くだらないと思うかもしれないが、一番の要素は、

「99年に靴をネットで売ったこと」

・・・だろう。

アホらしいと思うかもしれないが、99年と言えば、どんな時代だった?今の時代と全く違うよ。

この時代、靴のオンライン販売は、ほぼ不可能だと思われていた。だってそうでしょう?靴って履いてみないと分からないじゃない?

履いてみて、歩いてみて、履き心地が良いかどうか?そういう体験がないと分からない、買えない商品でしょ?だからネットで商品画像を見て購入決定する、なんてのは不可能だと思われていた。

そんな中で靴の販売をスタート。恐らく、当時、靴のネット販売をやっている会社はほとんどなかったんだろう。

あるいはあったとしても資金不足で潰れたか。(ザッポスも6年くらいはずっと赤字。つまり出資者がいなければ成り立たなかった)

そうすると、まず、「靴をネットで買う=ザッポス」というポジショニングが自然とできた。ポジショニングの大家であるアルライズによれば、そのニッチ市場に一番最初に参入するのが最も簡単なポジショニングだと言うし。

例えば、ヤフーは最初の検索エンジン。ebayは最初のオークションサイト。アマゾンは最初のネット書店。などなど、最初にやることは圧倒的なアピール力がある。

つまりある意味、商品の需要はしっかりと安定してあって、ネット上での供給がほぼない状態。あるいは競合がいないという美味しい状態だったとも言える。

もちろん靴の販売は不可能だと思われた時にそれをやったのがすごい。では、具体的にどんな施策で不可能を可能にしたか?これもとても簡単。

返品だ

ザッポスは返品をとても簡単にして、顧客に「試す」という経験をすることを可能にした。

なので、顧客はネット上の商品画像を見て購買決定をするのではなく、実際に履いてから購買決定することができるようになった。

これって、とても簡単な話だと思わない?ダイレクトマーケティングでは、返品なんて基本中の基本でしょ?しかし、それをしっかりやることによって、売上がドカンと伸びるわけだから。

もちろん、ザッポスは他にも、ビデオをいち早く活用したり、いろんなテストをしたりしていて、WEBマーケティングめちゃめちゃやってるわけだけど、初期にブレイクしたのはこれだろう。

ポイントは何かっていうと、これがザッポスのUSPでしょという話。よく「USP」の話は聞くと思うけど、USPって何か奇抜なものじゃないといけない、、、なんて事はない。

有名なドミノピザのUSPだって「30分以内じゃなかったら返品」とかでしょ?ただの「返品」がUSPになるわけで。。。

USPで大切なポイント

USPはUユニーク、Sセリング、Pプロポジッションの略なわけだけど、ユニークって「他と違う」って意味だけど、何と違うかって「他の会社と違う」つまり「競合と違う」プロポジッションという意味。

だから、大切なのは、競合が何をやっているか?競合がどんな提案をしているか?という事。

だから競合が「返品」を受けてなかったら、「ウチは100%返品可能です」でもUSPになるわけ。どうしても、USPとかを勉強していると、いろんな事例を見てしまって、その事例と同じくらい奇抜にしないといけないんじゃないかと思ってしまうけど、それは違う。

大切なのは、事例じゃなく、競合だよ。競合がめっちゃ早い配達してるのに、30分以内に、、、なんて事、言ったって、何のUSPにもならない。

もしかしたら、今では返品可能な靴販売サイトがほかにもたくさんあるのかもしれない。そしたら、ザポスはサービスを売りにする事ができる。詳しく調べてないが、恐らく、初期は返品USPをアピールして、中盤以降でサービスUSPをアピっているはず。

ザッポスは、靴、つまり商品そのものはUSPには絶対ならない。なぜなら、他の小売店でも完全に同じものが売っているので。

しかし、おそらくあなたは、自社独自の商品を扱っていると思う。なので、あなたのUSPはできるだけ、商品そのものから探すべきだろう。

まぁそんなワケで、どこかのデザイナーのように、猿真似では、上手くいくものも、うまくいかない・・・

ーおがわ

小川 忠洋

読者累計30万2163人を誇るマーケティングメルマガ『ザ・レスポンス』発行人、ダイレクト出版株式会社代表取締役社長。『ザ・レスポンス』の他にも、読者累計14万5000人の『デイリーインスピレーション』などを毎日発行。年間1億通以上メールマガジンを配信。日本ナンバーワン・マーケッターにも選ばれた神田昌典氏など、一流の経営者とも提携を結びビジネスを展開。著書に『自分を不幸にしない13の習慣』『フリーで利益を生み出す45の鉄則』『インターネットマーケティング最強の戦略』がある。

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