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受験生時代の教訓がビジネスの成功を妨げる理由

2009.12.4 | ,
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From:寺本隆裕

From:寺本隆裕

受験生は、よくこんなことを言われます。

志望校には、英語と数学の試験があったとして、その受験生は英語が苦手で数学が得意。

テストをすると大体、
英語:50点数学:90点
という成績だとします。

すると学校の先生はその受験生にアドバイスします。
「数学は頑張っても、あと10点しか伸びない。
受験では合格点が見られるから、英語を頑張りなさい。
英語なら、あと50点も伸びる余地がある。だから英語の勉強時間を増やしなさい。」

受験の場合だと、200点満点にいかに近づけるか、というところが競われるため、苦手克服して、「伸びる余地のある」科目に力を注ぐ方がより有効だというわけです。

受験でこの方法は正しいアプローチかもしれません。
でも、ビジネスの場合だと、どうでしょう?

先週の金曜日、このメルマガで質問を投げかけたところ、多くの方からたくさんのコメントを頂きました。ありがとうございます。

ちなみに、投げかけたのはこんな質問です。

ある会社に新商品が2つあったとしましょう。

新商品Aを作るのに300万円新商品Bを作るのに50万円

かかったとします。

それぞれ2人のメンバーが、その商品の販売プロモーションに携わっているとします。
Aの商品をプロモーションしてみたところ、なかなか売れずに利益が出ません。300万円の回収には、まだまだ時間と労力と工夫が要りそうです。

一方Bの商品にも2人のメンバーがプロモーションに参加。これはそこそこヒットになりました。スグに50万円のコストは回収し、順調に利益を出すことができています。

さて、ここでこの会社が売上を伸ばすためには、どうすればいいでしょうか?

Aをがんばって売るのか?Bをもっと売るのか?それとも???

その中で、inopuさんからもらったこんなコメントが僕の意図を代弁してくれていて、なおかつ、プラスアルファの知識を提供してくれています。
inopuさんのコメントはこれです。

この問の主旨は、既に費やした300万円をあきらめられるかどうかという事でしょう。
既に費やした金額にこだわる人間の心理的偏りを「埋没費用効果」というそうです。
この効果により正しい判断が出来なくなってしまう。
正解はコストを一切無視して今後を判断する事だと思います。
売れる見込みがなければ、Aは損切りですね。

inopuさん、ありがとう!

実際、AとBのどっちを売るべきか判断するために、僕から提示した材料はかなり少なく、「生産コスト」と「売れ行き」のみ。

だから、この会社が売上を上げるために、色んなアイディアがあって当然だし、どれが本当の正解なのかというのは、やってみないとわかりません。

(他の方からのアイディアはこちら

だけどこの記事で僕が言いたかったのは、損切りの例えで出したように、売れてないものは切り捨てて売れてるものを伸ばすのがもっとも効率がよく簡単だ、ということ。

売れてない商品の販売に注いでいるパワー、それを何とか売れるようにしようとするパワーを、既に売れてる商品の販売に回してレバレッジをかけるべき、というのが僕の意見です。

受験生時代の教訓が悪影響?

多くの人は、最初の受験生の例で出したように、売れてる商品(=いい成績のもの)はそれをキープしようとして、売れてない商品(=悪い成績のもの)を伸ばそうとしてしまいます。

受験の場合だと、テストの「満点=上限」は決まっていて、それにいかに近づけるかを競う、いわゆる減点方式です。

一方、ビジネスや投資などの場合、「満点=上限」はありません。加点方式とでも言うのでしょうか。

売れてない商品Aが50点売れてる商品Bが90点

だと仮定するなら、商品Bはこの先、120点にも、500点にも、1000点にもなりえるわけです。
にも関わらず、多くの人は受験生のように「苦手克服」しようとしまっています。

最悪なのが、

売れてる商品は売れてるから、人数減らしてキープしよう。
今売れてなくて困ってる商品に、人を回そう。

という考え方。

こうやって冷静に考えてみると、「いや、そんなんありえないでしょ」と思うかもしれないけど、実際は身近によくある話だったりします。

売れてる商品は売れてるから、人数減らしてキープしよう。
今売れてなくて困ってる商品に、人を回そう。

の「商品」のところを、「営業所」、「地域」、「サービス」、「広告メディア」、「事業部」、などに置き換えてみれば、あなたの周りにも思い当たることがあるんじゃないでしょうか。

しかも、人だけじゃなく、色んなリソースが売れてない商品につぎ込まれるのです。

事実:売れてない商品を売れるようにするよりも、
売れてる商品をもっと売るほうが、はるかに簡単

もちろん、現状売れていない商品を売れるようにする方法はたくさんあります(僕らが扱っている商品では、実際、そういうノウハウを紹介しています)。
そしてそれは、社長やマーケターの重要な仕事でもあります。

ですが、「売れてる商品」があるのであれば、それにレバレッジをかけてもっと売る、というのは、社長やマーケターのもっと重要な仕事です(こっちの方が、売上に与えるインパクトがデカイので!)。

もっと売る方法
もっとレバレッジをかける方法!

やり方として一番簡単なのは「使うメディア」を増やすこと。
つまりアプローチするターゲットの数を増やすということです。
例えば、、、

・自社のメルマガリストで売れてるなら、ダイレクトメールを出してみる
・アフィリエイトで売れてるなら、PPCを出してみる
・ネットで売れてるなら、オフラインの媒体を使ってみる
・自社のリストで売れてるなら、同じようなお客を相手にしている会社と
 ジョイントベンチャーして、紹介してもらう
・ジョイントベンチャーで売れてるなら、
 そのジョイントベンチャーにもっと紹介してもらうようにする
 ジョイントベンチャーの相手を増やす
などなど

なぜ売れないのか、なぜ売れるのか、ということには「理由」があります。
たとえば、

・商品そのもの・広告、コピー・セールストーク
・マーケット・タイミング・マーケティング
・価格・メディア・環境・世の中の出来事
・政府の後押し・競合の状態・パートナーの状態(アフィリエイター、JVパートナー、etc)
・販売に携わる人のスキル・やる気
・人数など、内部的な要素
などなど

それのどこが悪くて/どこが良くて、売れてない/売れてる、というのを100%把握するのはとても難しいことです。
特に、売れてない部分を修正し、売れるように変えるには、時間とパワーがかかることです。

同じ時間とパワーをかけるなら、

・売れてる商品をもっと売るために使うのか
・売れてない商品を売れるように改善するために使うのか

どっちが売上に、利益に、関わる人たちのモチベーションに、成長につながるか、一度評価してみてはいかがでしょう。

fasdf

寺本 隆裕

ダイレクト出版取締役。セールスライター兼マーケター。クライアントのためにセールスライティングを請け負う場合、プロジェクト1件で、一流企業のエリートサラリーマンの年収を軽く超える額をチャージ。さらにそこから売上からのロイヤリティがかかる。これほど日本で最高クラスの料金設定にもかかわらず「書いてください」という人が後を絶たない。著書には『ウェブセールスライティング習得ハンドブック』『ダン・ケネディから学ぶ「稼ぐ社長」の作り方』(集英社)がある。

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