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S.ジョブズの考え方

2013.9.16 | ,
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From:小川忠洋

From:小川忠洋

西宮のスタバより、、、昨日、スティーブ・ジョブズの”ロストインタビュー”という映像を見ていた。この映像は、ジョブズがアップルに復活する前の映像で、95年のもの。ネクストを経営している時に受けたTV局のインタビューだ。

ちなみにネクストはこの1年後にアップルに買収されて、今のOS10とかの基盤になっているらしい。通常、TV局のインタビューは長い時間収録されても、使われるのは、ほんの5分とか10分とか。なので、放送されていない分のインタビュー映像がたくさんあるわけだ…

これはある起業家に勧められて見てみることにしたんだが、何がオモシロイかというと、アップルを追い出されて、ネクストを経営しているにも関わらず、アップルの話を延々としている。ビジネスとはどうやるか?アップルはどうあるべきか?などなど…学ぶ事がたくさんあったので、あなたにもいくつかシェアしたいと思う。

お金について

インタビュアーが面白い事を聞いていた。「お金についてどう思うか?」「お金はあなたにとってどんな意味があるか?」この事に関しては、僕も思うところがあって、何度もメルマガやpodcastなどで話しているのでジョブズの答えには興味があった…

「お金は大切だ。素晴らしいパワーがある」

ジョブズは20歳くらいかな?1億、10億、100億とあっと言う間に稼いでしまった。彼が言うのはお金はとても大切だと。それは、何かを実現するのを可能にしてくれると。つまりジョブズがお金を大切だと考えるその理由は、自分が贅沢できるとか、豊かなライフスタイルを送れるとか、そんなんじゃなく、”何かを実現する”能力を持たせてくれる、、、という点だった。

しかし、さらに彼が言うのは、本当に大切なのはお金じゃなく、会社だと。会社にいる人だと。チームだと。会社が売る商品だと。消費者に何かを実現させるパワーを持たせる商品だと。

後にも話すけどジョブズは本当にアップルという会社を愛していて、アップルの作る(自分の作る)商品を愛しているという事がヒシヒシと感じられた。

マイクロソフトについて

マイクロソフトについて、彼はマイクロソフトを嫌いなわけではないと。彼らは成功しているし、それだけの能力があったと。ただし彼らのビジネスのやり方を可能にしているのは、実はIBMだと。

IBMとの取引からもたらされる収益が、マイクロソフトのビジネスのやり方を可能にしていると。ま、それはそれでいいと。それがマイクロソフトのやり方だし、それは自分たちで獲得した成功だと。

彼がマイクロソフトに対して最も残念に思う事があると…

それは何かというと、”マイクロソフトの商品には魂がない”という事。商品に「魂」がない。こんな言葉を使う時点でジョブズの違いが見える。彼はやはり商品をとてつもなく愛している。マイクロソフトは、その当時、ほぼ全ての領域で、アップルや他社を駆逐してきた。しかし、その駆逐してきた商品は、まるでマクドナルドみたいな感じで、そこに”魂”も”クリエイティビティ”もないと…

アップルの失脚について

当時のアップルは今のアップルとは全く違ってボロボロだった。Dellコンピューターの創業者マイケル・デルは「もう潰して精算する方がマシ」とまで言っていた。忘れてはいけない。この話はジョブズが復帰する1年前のことだ。

ジョブズがアップルの失脚をどう見たか?彼が一言、言ったのは”自分の採用ミス”だと。つまり、ジョン・スカリーというCEOの採用に彼がミスったと。。。(ジョブズが元ペプシコのジョン・スカリーをヘッドハンティングする時に「一生砂糖水を売りたいか?それとも世界を変えたいか?」と言ったのは有名)

ジョン・スカリーはペプシという飲料メーカーの人間だった。しかも超大企業。そして、その業界は、とてつもなく、ゆっくりと安定している。ペプシの商品が新しく変わるのはまさに10年単位だ。10年でも短いかもしれない。ところが、アップルのようなコンピューター産業は10年続くものなんて事実上、存在しない。。。

つまりビジネスの経営の仕方が全く違うわけだ。ここでも商品の話が出てくる…

ペプシコのような商品がずっと変わらない大企業では偉くなるのは、「マーケティングとセールス」の人間だ。もちろん、商品側の人間もそれなりには評価されるが、重要な意思決定などには参加できない。(確かにペプシコの重要な経営決定にジュースを研究している人間が参加するとは思えない)

その文化をアップルに持ち込んだらどうなるか?コンピューター産業では商品の変化が激しい。1年2年で商品は古くなってしまう。そんな中、商品側の人間が、重要な経営決定に参加せずに、マーケティング・セールス側だけで重要な意思決定をしていたら、、、

いつの日か「偉大な商品とはどんなものか?」という事が分からない会社になってしまう。そのテイストが感触が分からなくなってしまう。だから、アップルは偉大な商品を出せなくなってしまった…

***

面白いなと感じたのは「マーケ側」の人間と「商品側」の人間と2つのタイプに分けてビジネスを考えているジョブズの感覚だった。自分はそんな風に考えたことはなかった。僕の頭の中では、マーケティングの中に商品というものも入っていた。

この話を聞いていて、ジョブズがあんなにもマーケティング上手いのに、”商品側”の考え方をとても強くしている事が分かるだろう。このザ・レスポンスを読んでいるあなたなら、「マーケティング、マーケティング、マーケティングが全て」「商品なんかどうでもいい」と言う価値観を持っているかもしれない。

今回の話はそれとは全く逆の価値観の話だ。だから、もしかしたらあなたは戸惑っているかもしれない。。。

しかし、こういった事はとても大切だと思う。自分と真逆の考えや価値観を知って、そこから学びを得れば、今現在の考えにも磨きがかかる。まるで、外国に行ってはじめて日本の文化が分かるような感じだ。

大抵の社長は”商品側”の人間で(特に技術者とか)常に商品のことばかり考えている。マーケティングやセールスを全く考えないことが彼らの問題で、そういう人がマーケティングやセールスを学んで、実践すれば、素晴らしく結果がでる。

もしかしたら、あなたも過去そうだったかもしれない。

そしてマーケティングを学んで、成果を出してきたタイプかもしれない。もし、それで、マーケティングに走って、成果が大きくでたら、、、「マーケティング万歳!!」という価値観になり、マーケティングが楽しくて楽しくて仕方ないというような状態になっているだろう…

だったらもう一度、逆を見てみてはどうか?

今度はマーケティングを学びまくった後で、商品の方に目を向けてみるという事をやってみてはどうか?

個人的に僕はこのインタビューを見て、「ウチの商品には魂がこもっているだろうか?」という事を自問した。正直に言えば、魂がこもってないな、、、というのもある。そして、このような事は考えたことがなかった。

「商品に魂がこもっているか?」

あなたも自問してみたらどうだろう。マーケティングを十分やったら、もう一度、逆側を見て”おれの商品には魂がこもっているか?”と自問してみてはどうだろうか?

−小川忠洋

小川 忠洋

読者累計30万2163人を誇るマーケティングメルマガ『ザ・レスポンス』発行人、ダイレクト出版株式会社代表取締役社長。『ザ・レスポンス』の他にも、読者累計14万5000人の『デイリーインスピレーション』などを毎日発行。年間1億通以上メールマガジンを配信。日本ナンバーワン・マーケッターにも選ばれた神田昌典氏など、一流の経営者とも提携を結びビジネスを展開。著書に『自分を不幸にしない13の習慣』『フリーで利益を生み出す45の鉄則』『インターネットマーケティング最強の戦略』がある。

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