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社長病

2015.7.6 | ,
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From:小川忠洋

From:小川忠洋
大阪のオフィスより

「広告は出してますか?」

「部下の○○に任せました」

「クリエイティブの改善は」

「それも部下がやってるはずです」

新規事業の立ち上げをしてる真っ最中の社長との会話。

その前の週に、広告で新規をとれないと始まらないから、広告を出そう。そしてスグには上手くいかなないから、上手くいくまで、ひたすらそれに集中して改善をくり返さないといけないよ。

という話をした次の週。その社長と話をしてたら、広告関連は部下がやっているから大丈夫だとの回答。

怪しいなと思って、実際にその広告を見せてもらったり、セールスレターはどうなってんだ?と見てみたりすると、案の定、あんまり良くない。

その新記事業は、広告がネックになっていて全体的に停滞していたんだけど、一週間でどれくらい改善したかなーと思ったら、ホントに少ししか改善していない・・・

このままだと軌道に乗るまで何ヶ月かかるだろう・・・1年かかっても軌道に乗らないんじゃないか、、、と思えるような状態だった。

これはよくある「社長病」

冒頭の社長との会話が続く限り、この事業が今年中に軌道に乗ることは、まぁまずないだろう。え?一体なにが「社長病」かって?それは、、、

手を動かすのは部下に任せてしまうこと

まぁ、社長は忙しいし、社長業ってのをやるのが本来の仕事だから、普段は手を動かしちゃいけない。

自分でやるより、部下にやらせて、部下を育てていかないといけない。

そして社長は、事業の大きなビジョンとか方針とか交渉とか、そういうのをやるのが仕事・・・

・・・なわけだけど、、、今回ばかりは違う。今回ばかりは違う理由は、これが新規事業だからだ。

新規事業ってのは、立ち上げにとてつもなくエネルギーが要る。

飛行機が離陸するようなもんで、、、どこかの話で聞いた事があるけど、飛行機は離陸の時に全燃料の70%を消費するとか、、、なのでとてつもなくエネルギーが要る。

そして、たくさんの判断、意思決定をし続けなければいけない。

となると、相当、優秀な人間がやらないと、いつまで経っても事業が軌道に乗らないって状況になる。

例えば、この社長の会社は既存の事業は既にお得意さんとも言えるようなお客さんもたくさんいてリピートしてくれるから、頼まれた仕事をきっちりこなしているだけで良い。

ところが、その事業だって立ち上げの時は、つまり会社立ち上げの時は、とてつもなくエネルギーが必要だったはずで、社長みずから全ての仕事をやりくりしていたはず。

現状の入って数年未満のスタッフに任せるなんて事は絶対にしないはずだ・・・(なぜなら事業が軌道に乗らないと死ぬから)

必死でやらないと事業は離陸しない

しかし新規事業となると、失敗しても、軌道に乗らなくても死にはしない。

そして既存事業が上手くいっているので、部下にいろいろ仕事を任せている。

結果的に、「部下に仕事を任せる癖」がついていて、会社立ち上げ当初のように「自分で動いて仕事を獲ってくる」みたいな事をやらなくなってしまう・・・

それがそのまま新規事業にも出て、大抵の仕事は部下に任せて、、、みたいな事が起きてしまう。これがよくある社長病。

もちろん普段は社長は動かなくていい。しかし、新規事業の立ち上げの時は、会社で最も優秀で、パワーがあって決定力がある人間がやらなきゃならない。

そしてそんな人間は、小さな会社には社長くらいしかいない・・・

たとえばウチで言えば、寺本みたいな人材がいれば、彼に全部任せて社長は何もせずにカネだけ出して静観って事もできる。しかし彼のような人材は、小さい会社にはまずいない。

実は、ぼくも昔これで大失敗をしたことがある。新規事業を立ち上げる時に、入って2年未満の人に任せてしまった。

その時は、この間違いに気づかずに、ビジネスモデルのどこが悪いのか?広告のどこが悪いのか?セールスレターのどこが悪いのか?などなど、毎週毎週、悩んでいたが、何のことはない、新しい事業を立ち上げるだけの技能と決定力(つまりは権限)が、2年目の人間にあるわけがなかっただけだ・・・

結果的にその事業は2年以上ずーーーと停滞していた。何をやっても上手くいかなかった。

振り返ってみれば、大変だけれど社長がそこに入って試行錯誤すれば、半年以内には離陸できたんじゃないかと思う・・・

社長の仕事とは?

社長の仕事は、会社経営が第一であることは間違いない。しかしそれは、平時において。新規事業の立ち上げとは平時ではなく、戦時みたいなもん。カオスな状態から始まる。だからこそ、社長がやらなくてはならない。

こんな事、ばからしくてやってられない・・・オレの時給に合わない・・・なんて仕事も社長自らがやらなければいけない。

そうする事で、かすかな情報がたくさん入ってくる。その、かすかな情報の中には、事業の方向性を変えるような宝石のような情報もある。

どんな大きな事業でも大抵は、小さなきっかけを元に大きく育っていく。その小さなきっかけを見過ごさずに、活用できる能力のある人間ならいい。

しかし、部下が社長の自分と同じように感度が高いと考えるのは、見積もりが甘すぎるんじゃないか。

「自分でやらなきゃダメです」

「それと“やってるはず”とかダメ。一週間の進捗をムダにできるなら、簡単に数ヶ月をムダにしますよ」

「そこがボトルネックになっている、だから部下に任せたらダメです。部下の方がいいセールスレター書けるんなら別ですけどね」

その社長は自分の手を動かしはじめた。とても優秀な人なので、その事業が軌道に乗るのも、時間の問題じゃないかな。

あなたも気をつけて。

ーおがわ

小川 忠洋

読者累計30万2163人を誇るマーケティングメルマガ『ザ・レスポンス』発行人、ダイレクト出版株式会社代表取締役社長。『ザ・レスポンス』の他にも、読者累計14万5000人の『デイリーインスピレーション』などを毎日発行。年間1億通以上メールマガジンを配信。日本ナンバーワン・マーケッターにも選ばれた神田昌典氏など、一流の経営者とも提携を結びビジネスを展開。著書に『自分を不幸にしない13の習慣』『フリーで利益を生み出す45の鉄則』『インターネットマーケティング最強の戦略』がある。

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