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ストーリーのちから

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From:昌子幹

先日、久しぶりにナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」(きこ書房)を読み返してみました。自己啓発の名著で、今までに全世界で1億冊以上も売れている本なので、もしかしたらあなたも読んだことがあるかもしれませんね。でも、あなたは考えたことがあるでしょうか。なぜ、この本はそんなに売れたのか?

もちろん内容が優れているということはあります。しかし、一言で言うとこの本は、いわゆる成功哲学をまとめただけのものにすぎません。そして、そういった類の本で優れた内容のものは他にもたくさんあります。にもかかわらず、なぜこの本は他の本よりもはるかに多くの人に選ばれ、しかも何十年にもわたって読み継がれているのか?

「思考は現実化する」が1億冊以上売れた理由

実は、その大きな理由のひとつは、この本の冒頭に記されたアンドリュー・カーネギーとのストーリーにあると言われています。そのストーリーとは、、、

当時、新聞記者を務めていたナポレオン・ヒルは、鉄鋼王のアンドリュー・カーネギーに巨富を得るための秘訣についてインタビューしました。インタビューを終えたカーネギーはナポレオン・ヒルにこう尋ねます。

「これから私は君に500人以上の成功者を紹介する。彼らにインタビューして、世界の多くの人々のためにその秘訣を伝える仕事を、少なくとも20年以上続ける気持ちが君にあるか?ただし、その間、私は君に1セントも支払わないよ。それでもやってくれるかね?」

ひどく迷ったナポレオン・ヒルでしたが、結局彼はその仕事を引き受けることにしました。その決断にかかった時間は29秒。カーネギーはその時ストップウオッチを持っていました。もしナポレオン・ヒルが決断するのに60秒以上かかっていたら、見込のない人間だとしてあきらめるつもりだったことを、彼は何年も後になって知ることになります。でも、なぜ1セントも支払わないのか?その理由についてカーネギーはこう言いました。

「私は成功のノウハウを君に直接教えた。その上、多くの成功者と君はこれから長い年月、協力し合うことになる。ということは、君が成功しないなどということはありえないではないか」

ざっくり言うとそんなストーリーですが、もしあなたがこの本を読んだことがあるなら、内容は忘れていても、このストーリーだけは覚えているのではないでしょうか?つまり、それだけこのストーリーには人を惹きつけるパワーがあります。

このストーリーを聞いただけで、この本を読みたくなった人は少なくないでしょう。それどころか、このストーリーを他の人に話したくなったはずです。その結果、「思考は現実化する」は何十年にもわたって多くの人に読み継がれていったのです。

もし、この本からこのストーリーを取り除いたら何が残るでしょうか?成功者の体験談を集めたものに過ぎません。つまり、、、

これがストーリーのパワーです

ストーリーはセールスにおいて大きな力を発揮します。例えば、僕がダイエット食品を売っていたとします。そして「このダイエット食品を毎日食べれば1週間で5キロやせますよ」と言ったところで、あなたは信じてはくれないでしょう。それどころか、「お前は誰なのか?なぜお前にダイエットのことを教わらなければならないのか?そんな資格があるのか?」と考え始めるでしょう。

でも、もし僕が、そう言う代わりに、実は昔は今の倍くらい太っていたことを話し始めたらどうでしょう?

その頃、たまたま旅行で訪れた地方の小さな町で、周りに太っている人をまったく見かけないことに気づいた。調べてみると人口の90%が痩せていることが分かった。さらに調べてみると、その町の住人には、他の地域にはないある習慣を持っていることが分かった。彼らは昔からある食材を毎日食べていたのだ。ひょっとしてこの食材に秘密があるのでは?と思った僕は、試しにその食材を毎日少しずつ食べてみた。すると、たった1ヶ月で体重が半分にまで落ちた、、、

もちろん、これは作り話です。でも、これが本当の話で、そしてもしあなたが自分の体重に悩んでいたら、興味を持ち、信じてもらえる可能性は高いでしょう。なぜか?

主張VSストーリー

それがストーリーで語られているからです。「1週間で5キロ痩せますよ」というのは単なる「主張」でしかありません。人は主張を耳にすると自動的に防衛本能が働き、即座に疑ってかかります。例えそれがもっと信じやすい約束(例えば1ヶ月で3キロ、とか?)であっても、基本は疑ってかかります。

ですが、ストーリーから話し始めると人は耳を傾けずにはいれらません。子供の頃からそのように条件づけられているからです。ストーリーを聞くと人の心の中には好奇心が生まれます。興味が呼び起こされ、猜疑心は弱まっていきます。というよりも、猜疑心はなくなります。なぜなら、人間は同時に2つの感情を感じることができないからです。しかも、それだけではありません、、、

ストーリーが権威を生み出す

例えば、先ほどのストーリーに興味を持ち始めると、あなたはもはや僕が専門家なのか?といった疑問はどうでもよくなるはずです。あなたが知りたいのは、その町とはいったいどこにあるのか?その食材は何なのか?といった好奇心でいっぱいになるはずだからです。

といったように、もしあなたがセールスやマーケティングにストーリーをうまく組み込むことができれば、とても大きな効果を発揮します。優れたストーリがあれば、それだけで多くの人を魅了し、相手を説得し、自然と行動へと誘導することができます。では、どんなストーリーを伝えればいいのか?

ストーリーと一口に言っても色々な種類があります。しかし、あなたが社長であれ、セールスライターであれ、会社員であれ、誰もが語るべきストーリーがあります。
それが、、、

なぜ、あなたはその仕事をしているのか?

という「理由のストーリー」です。なぜあなたはそのビジネスをしているのか?なぜその商品を売っているのか?

もちろん、お客さんはあなたがそのビジネスをしているのはお金のためであることは知っています。自分に何かを売ってお金を得ようとしていることは分かっています。ですが、一方でこうも信じたいのです。

「お金以外に何か別の理由があるはずだ」

と。そして実際、あなたがその仕事をしているのには、お金以外の理由があるはずです。特に起業家であれば、わざわざ大きなリスクを冒してまでそのビジネスを始めたのには、それだけの理由、つまり燃えるようなモチベーションがあったはずです。そして、そのモチベーションを授かるに至ったストーリーがそこにはあるはずです。

そのストーリーをお客さんは聞きたいのです。そのストーリーを聞くことでお客さんはあなたに興味を持ち、あなたを信頼し、あなたを応援したくなるのです。

一度、自分の鉄板ストーリーができれば、セールスやマーケティングに限らず色々な場面で使うことができます。しかも、繰り返し繰り返し効果を発揮してくれるでしょう。あなたが自分で飽きたと思っても、お客さんはそれを聞きたがります。さて、、、

あなたは自分のストーリーを持っていますか?

あなたは誰ですか?
あなたはどこから来ましたか?
あなたはなぜそこにいてその仕事をしているのですか?

どんな人でも必ず、そこに至るまでの何らかのストーリーを持っています。それを思い出しましょう。それを魅力的に組み立てましょう。そして、それをお客さんに語りましょう。

昌子 幹

BtoBからBtoC、国内から海外に至るまで15年以上にわたって営業とマーケティングの経験を積む中、ある時ダイレクト・レスポンス・マーケティングとセールスコピーの重要性に気づく。独学で勉強を進める一方、当時たまたま募集をしていた小川忠洋主宰のセールスライターを養成するコーチングプログラム「パートナー養成講座」に参加。その4カ月後にはセールスライターとして最初の仕事を獲得し、会社に勤める傍ら副業で活動を開始。間もなくセールスライターとしての仕事が急増し、収入も本業を大きく超えたためセールスライターへと完全に転身。現在は【ザ・レスポンス】でプロモーションの企画とセールスライティングを担当。

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