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ファブリーズの成功

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From:小川忠洋

From:小川忠洋

西宮のスタバより、、、

ファブリーズという商品はきっとご存知だろうと思う。シュッシュってスプレーして部屋の臭いを消すやつだ。現在この商品は1000億円以上の売上があるメガヒット商品だ。恐らく、あなたやザ・レスポンスの読者はこの商品に大して一部の興味もないだろうけど、この商品が実は最初は大コケしてた…という話には興味があるんじゃないだろうか?

1993年、今からちょうど20年前の話。P&Gの研究員が臭いを消す(根本から消す)成分を発見した。それは臭いをごまかすとかじゃなくて臭いの成分が化学分子に分解されて根本から消すものだった。経営陣は飛び上がって喜んだ。なぜなら数年前からの市場調査で消費者が悪臭を取り除く商品を待ち望んでいる…という結果が出ていたからだ。

商品名はファブリーズに決まり、天才マーケッターと呼ばれる人間が担当になった。TVCMをガンガン流して、サンプルを配って広告キャンペーンを打った。。。さぁ、あとは売上がドカーーーンとあがってるのを見てニンマリするのみ…

ところが、、、

おや???

おやおや????

何ががおかしい、、、まったく売れなかった…

天才マーケッターは動揺を隠せず、何が起きているのか理解できなかった。理屈で言えば、消費者が待ち望んでいる商品で、完璧に臭いを消しさる商品、売れないはずがない。お客が欲しいと言ってる商品を売ってるはずなのに…広告にも、臭いを消すという事がバッチリアピールされていた…

そこで天才マーケッターは消費者の元に調査に出かけた。ペット臭がとんでもなくする家に訪問して、なぜファブリーズを使わないのかを聞いてみた…答えを聞いた天才マーケッターは愕然とした。。。

天才マーケッターでも売れない理由

臭いがしない…と言う。その家の人間は、自分の家がペット臭まみれだなんて思ってもなかった。その他にも悪臭のひどい家に訪問したが、みんな同じだった。誰もが自分の家の悪臭に気づいてなかった。

気づいてない問題に対して、それを解決する商品をオファーしたところで、もちろん、売れっこない。それにもっと大切なのは、自分の家が臭いなんて事を認めたがる人なんて、どこにもいないという事だった…

つまり、ファブリーズの広告は、家の臭い生活臭を消します。タバコ臭を消します。というアピールなわけだけど、その商品を買うという事は、イコール自分は臭いと認めることにほかならない。自分自身を振り返ってみてほしい。自分の家が臭いと、公衆の面前で発表することができるだろうか。ただ恥ずかしい思いをするだけである…

なので天才マーケッターはどうすればファブリーズが売れるか悩みに悩んだ…人が意識してない問題を解決する商品・・・こんなモノが売れるんだろうか???

理屈で考えたら売れない…

あなたも、こんな状況に陥ったことがないだろうか?あるいは現在、陥ってないだろうか?この商品が売れる”糸口”が、全く見えない…どうしたらいいか分からない…

こんな時は、何をすればいいだろうか?ネットでなにか最新のノウハウでも探そうか、、、そんな事をやってはいけない。こんな時は何をすればいいか?答えは簡単だ基本に戻ること。

どんなに売れそうもない商品も、それを買ってる人がいる。ごく少数かもしれないが、それを買ってる人が存在する。そこにヒントが眠っている、そこに答えが眠っている、そこに宝の山が、、、眠っている…

ファブリーズの天才マーケッターはそのごく少数の購入者の家に訪問した。そして、彼女たちがどのように商品を使っているのかを観察した。すると意外なことが分かった。。。。

彼女たちは、掃除の後の仕上げにファブリーズをシュッシュと使っていた。つまり、”部屋の臭いを消す”ために使うのではなく”部屋をいい香り”にするために使っていたのだ…どちらもコインの表裏で同じような感じがする。しかし、消費者、実際のユーザーにとっては、ぜんぜん違う意味なのだ。

それからファブリーズの広告は「臭いを消す」というアピールから、「いい香り」のアピールに変更して、商品はメガ・メガ・メガヒットし、新しい商品ジャンルができたほどだ。これから先は誰もが知っていることだ。。。

教訓:

さて、この話から、どんな教訓が得られるだろうか?いくつかの学ぶべき事があるが、今日は1つだけ上げよう。(他は考えてみてほしい)それは、商品ベネフィット、、、商品のセールス・アピールについてだ。

ファブリーズの話から分かるように、セールス・アピールがちょっとズレただけで反応は全くなくなってしまう。実際に見込み客の心に本当に響くアピールじゃないと、反応はなくなる。それが、どちらも”臭い”を良くする、、、という同じようなアピールだとしても、そのアピールの仕方で見込み客の受け止め方は全然変わる。つまり「それ、私、欲しかった!」になるか「へぇ、いいんじゃない?」になるか。

そして、この2つの成功したセールス・アピールと失敗したセールス・アピール。どちらも商品の”同じベネフィット”、同じ機能から出てきたという事に注目してほしい。商品自体が変わったわけではない。商品ベネフィットの伝え方が変わっただけだ。

たったそれだけで、メガブランドになるか、失敗作になるか。全然、違う結果になる。大成功した商品も失敗作ももしかしたら、ほんのちょっとのアピールの違いなのかもしれない。

あなたも考えて見て欲しい。いま、自分が売ってる商品、自分の広告は本当に見込み客が求めているところにアピールしているだろうか?他にこの商品のセールス・アピールが考えられないだろうか?

ほんの一歩の違いはなにか?

-小川忠洋

PS:
あなたはこのファブリーズの話から他にどんな教訓が学べただろうか?
他になにか学ぶことがあったら、ぜひシェアしてほしい。

小川 忠洋

読者累計30万2163人を誇るマーケティングメルマガ『ザ・レスポンス』発行人、ダイレクト出版株式会社代表取締役社長。『ザ・レスポンス』の他にも、読者累計14万5000人の『デイリーインスピレーション』などを毎日発行。年間1億通以上メールマガジンを配信。日本ナンバーワン・マーケッターにも選ばれた神田昌典氏など、一流の経営者とも提携を結びビジネスを展開。著書に『自分を不幸にしない13の習慣』『フリーで利益を生み出す45の鉄則』『インターネットマーケティング最強の戦略』がある。

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