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米国視察ご報告

2014.7.14 | ,
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From:小川忠洋

西宮のスタバより、、、

先週、ひさびさに米国出張に行ってきた。今回は、企業視察ツアーということで、優良企業を現地視察に行くというツアーだった。視察してみていろいろ参考になることがあったので、今日はそれをシェアしたいと思う・・・

ところで、この視察ツアー。ツアーなもんだからスケジュールがびっちり決められていて、朝の8or9時に出てあっちこっち移動して、昼メシ食べるところも決まっていて、晩メシも予約がしてあるという至れり尽くせりのツアーだった・・・

案内をしてくれた人が”グルメ”らしく、晩メシは、めちゃめちゃ美味しい店ばかりを予約してくれていた。最後の晩に行った「ピータールーガー」というお店はニューヨークの名門ステーキ店らしく、地元の人でもなかなか予約がとれず、行けないくらいのお店だという。。。

本場のステーキは日本のステーキとは全く違い、分厚くて、歯ごたえがある。なんでも、肉を熟成しているらしく、肉の周りにカビだかアミノ酸だかが発生していて、それが味になっているらしい。グルメだけあって、食べる前にも食べてる最中にも”うんちく”を語ってくれるわけだが、”うんちく”があるから余計に美味しく感じる。

そう考えると、人は目の前の食材を食べているだけでなく、一緒に”情報”も食べているのかもしれない。”ストーリー”が人に美味しいという体験をさせているのかもしれない、、、、なんて思った。

BOSEやサウスウェスト航空、スタバの新業態のお店、その他名前も分からないようないろんな企業に視察に行ったんだけどニューヨークで印象に残ったのは「ステューレナード」というスーパーだった。なんでもこのスーパー、1坪あたりの売上で世界一でギネスブックに載っているという。一体、どんな秘密があるのか?興味津々でお店に入った。。。

入ってみると、ミッキーマウスが踊っていたり、鳥の人形が歌っていたり、お客さん(特に子供)を飽きさせない工夫がされている。

しかし、こんな事だけでギネスに載るとも思えない。こんな事は競合店だって真似しようと思えば真似できるはずだ。ガイドの人が曰く、このステューレナードというスーパーは初めて、ワンウェイショッピングというものを導入したお店だそうだ。ワンウェイってのは家具のIKEAみたいな感じに一度入ったら通路が決まっていて、まっすぐ最初から最後まで行かなきゃいけない設計のこと。

こうする事によって、来店したお客さんは「全ての商品を見る」ことになる。確かにそうすることによって、客単価は上がる事は明白だ。しかし、小売店をやってるわけじゃないから、WEBマーケティングをやっているぼくの事業にはあまり関係ないかな。。。と。

何か参考にできることはないかと、ガイドの人にいろいろ質問をしていると、とっっってもオモシロい事を発見した。おそらく、これはあなたのビジネスでもどんなビジネスでも共通じゃないかと思う・・・それは、、、

商品品目の少なさ

このステューレナードというスーパー、一般的な普通のスーパーに比べて、置いている商品品目が約1/7しかないという。1/7といったら相当少ない。パーセンテージでいうと14%くらいしかないって事だ。想像してみてほしいんだが、同業者に比べて、商品数が14%くらいしかないって危機的な状況に思えないか?

確かに写真を見て分かるとおり、よーーーっく見てみると、同じ商品をひたすらたくさん並べているだけだった。何も考えずに通り過ぎると気がつかないが、他のスーパーだったら牛乳にしても何にしても、ありとあらゆるブランドのモノが並んでいて選び放題だったはずだ。しかし、ここは個数はたくさん置いてるが、種類は少ない。

店舗はそれなりに大きいのでたくさん種類を置かないと同じ商品ばっかり並んでいるように見えて、”つまらないお店”になってしまいそうだが、そうは見えない。なぜなら、同じ商品でも間を置いてあっちこっちに置いてるから、消費者は気づかない。これもワンウェイだからできることだ・・・

よくよく考えてみると、今回、視察した優良企業のほとんどは「商品品目が少ない」最初に登場したステーキ屋なんかも、確かステーキ何グラム、種類が2,3種類だったはず。今、アメリカで流行っているハンバーガーショップ、インナナウトというお店にも行ったが、ここはハンバーガー確か3種類。バーガー、チーズバーガー、あと1個わすれた。

サウスウエスト航空なんかも、日本にはないから知ってる人はあまり多くないが構造的に赤字体質であると言われる航空業界において37年間黒字経営をしている奇跡の会社である。ちなみに地方の小さい航空会社だと思っているかもしれないが、規模的にはJALやANAよりデカい。

そんな収益性の高い航空会社も商品(航空ライン)は他社に比べて圧倒的に少ない。ユナイテッドやアメリカン・エアラインなんかは、米国中、あるいは海外でもありとあらゆる場所に飛んでいるが(商品点数が多いと見なせる)サウスウエストは国内の限られた場所にしか飛んでない。(ちなみにチケット代は圧倒的に安い)

さらに、よくよく考えてみると、アップルなんかもそうだ。

有名な話だがスティーブジョブズが瀕死のアップルに復帰した時にまず最初に何をやったかというと、商品品目の削減だった。ありとあらゆる商品を扱っていた当時のアップルで、ほとんどの商品を削減したと言っていいほど、容赦なく削減していった。結果、収益性が向上した。

おやおや、これは重要なインサイトではないかと思わないか?

ウチ(ダイレクト出版)の事業部でも、商品点数が5~6点の部門はトップクラスに収益性が高い。ちなみにあなたが読んでいるザ・レスポンスの事業部も、ごく少数の商品からほとんどの収益を上げている。。。

商品品目が減ると何がいいか?
3つのメリット

商品品目が減ると、3つ良いことがある…

1.オペレーションコストが下がる

当然のことながら扱う商品点数が減れば、それを管理するコスト、従業員が商品を覚えて対応を身につけるコストなどなど、さまざまな形でコスト削減をすることができる。商品品目が増えれば増えるほど、事業がどんどん複雑になる。簡単な話を言えば、上記の3種類しかないハンバーガー屋さんでは、今日入ってきた新人が、明日には戦力になっている、、、なんて状態になる。一方で、商品が何種類もあると、今日入ってきた新人は、いつになったら戦力になるやら、、、分からない。この時差は非常に大きい。この「差」は新人だけのものでなく、その事業で働いている全員が受け入れて生産性を下げている(コストを上げている)要因になる。

2.在庫が少なくなる

たくさんの種類の在庫を用意して、1ヶ月全く売れない不動在庫みたいなのがごろごろあるような状況にならない。商品品目が少なければ、在庫も回転がいいものしか置いてないはずで、商品一種類あたりの在庫は増えるかもしれないが、全体では大いに少なくなる。

この2つから分かるように、商品品目を減らすことによって、その事業の利益性が高くなる。オペレーションコストが下がって、在庫も減ったら、そりゃ利益性が上がる。しかし、もっと重要なのは次の項目だ・・・

3.1つの商品にかけるエネルギーが増える

これはつまりどういう事かというと、例えば商品をもっと良いものにしようと改善するにしても、品目が多いと、エネルギーが分散して結局、何も改善できない、、、なんて事になる。例えばあなたが3つの商品しかもっていなければ、その3つは顧客のフィードバックなどを受けて、着実に改善・改善を繰り返してより良い商品になるだろう。しかし3000種類の商品を持っていたら、それは不可能だ。その3000の中に全く同じ3種類の商品があって、顧客は全く同じフィードバックをしてくれてたとしても、現実問題として手がさけない。結果、元の商品は改善しないまま、次々と新しい商品が出てくることになる・・・

想像してもらえば分かると思うが、種類が少ないラーメン屋のラーメンは日々、店主の努力によってラーメンの味の改善ができる。しかし、カレーライスも扱ってるようなラーメン屋にそれは期待できない。

マーケティングに関して…

もう一点大切なのが、マーケティングだ。もし、3種類の商品しかなければ、1つの商品に対してかけるマーケティングのエネルギーも変わる。例えば、1つの商品に対して、バージョニングした5種類のセールスレターを書く事もできる。その商品のどの訴求が最もアピール力があるのか、いろいろテストすることができる。オファーのテストもたくさんできる。広告媒体もさまざまな媒体にオファーを出すことができる。バナー広告のクリエイティブだって、毎週毎週その事ばかりを考えて、ありとあらゆる広告を試すことができる。

結果的には、コストは下がって、マーケティングのエネルギーは上がる(つまり売上は上がる)という事になる。オペレーションなどのバックオフィス系の仕事に時間を割かれず、本来、利益を生み出すマーケティング活動にエネルギーを注ぐことができる。これで収益性が上がらないはずがない。

反論

以上、商品品目を減らすと良いことばかりのように見える。しかし、では何故だれもがそれをやらない(できない)のだろうか?答えは簡単だ。人は新しいモノ好きなので、「新商品」は一番売れるからだ。

商品品目が少ないと、いつ見ても同じような”つまらない”事業になってしまう。そこで、刺激を加えるために、新商品を導入する。新商品は刺激的なので必ず、売上アップにつながる。その結果、新商品をどんどん、どんどん出すことになる。。。

そのジレンマがあるわけだ・・・

そのジレンマをどうやって解決するのか?それはあなたの脳みその使いどころ。業種、業態によっても違うだろう。ウチの業態の場合はこうじゃないかな?という仮説はあるが実験してみないとまだ分からない。

ま、ひとまず米国から帰って、家で味噌汁を飲んだ時には、ホッとした。。。やっぱ日本が一番いい♪

ーおがわ

PS:
今回のツアーで夕食はいろいろな名門店に連れて行ってもらった。ピータールーガーはめちゃ旨だったが、個人的には高級料理よりも大戸屋のような店のほうが好き。なのでニューヨークでは現地名物のホットドッグ(2$)やベーグル(数$)などがウマかった。

PPS:
アメリカには銅像とか誰かの壁画とかがあちこちにある。これってやっぱり個人を尊重する文化なんだなと思った。日本では、どれだけ素晴らしい人がいたとしても、銅像立てるまでは、いかないもんね。

PPPS:
ちなみにダイレクト出版は創業して8年がたった。累計してみると107億円の売上を上げていた。その「核」となった方法をビデオで寺本が公開してるので、見てみて。

ダイレクト出版すべての始まり

小川 忠洋

読者累計30万2163人を誇るマーケティングメルマガ『ザ・レスポンス』発行人、ダイレクト出版株式会社代表取締役社長。『ザ・レスポンス』の他にも、読者累計14万5000人の『デイリーインスピレーション』などを毎日発行。年間1億通以上メールマガジンを配信。日本ナンバーワン・マーケッターにも選ばれた神田昌典氏など、一流の経営者とも提携を結びビジネスを展開。著書に『自分を不幸にしない13の習慣』『フリーで利益を生み出す45の鉄則』『インターネットマーケティング最強の戦略』がある。

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