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これこそがカスタマー・サービス・ディプロマシー!

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From:ダン・ケネディ

From:ダン・ケネディ

前回は、人と上手くやる能力、人に影響を与える能力こそ、最も価値あるビジネス・スキルの一つだと話しました。これは卓越したカスタマー・サービス・ディプロマットとしてのスキルです。
今回は、私がこれまでで経験した最高のカスタマー・サービス・ディプロマシーについて話しましょう。

あなたはこれまでに何度このような経験をしたでしょうか?

例を挙げます。

先日、大きな百貨店の店内をそこの店長と一緒に歩くことがありました。店長は私に「このあたりの売り場の店員を良く見ていて下さい」と言って店内を回り始めるとすぐに、店員3人がレジのところに集まっておしゃべりをしているのを指さしました。

彼らが担当する売り場で2人の客が明らかに何かを探しているのに、です。

また、別の店員は10分近くも電話でしゃべり続けています。おそらくは私用の電話でしょう。1人の客が接客してもらおうとその店員の周囲でうろうろして待っています。

紳士服売り場では、2人の店員がおしゃべりに興じていました。棚にディスプレーされたセーターは、くしゃくしゃに形が崩れてしまっています。

店長は私にこんな質問をしました。
「こんな連中が、売り場の主任に昇進したり、さらには我々のチェーン店の一つを任されて店長になったりする可能性が、どのくらいあると思いますか?」と。

これは答えを求めない疑問文です。答えは明らかだからです。

あなたは、これまでに何度このような経験をしたでしょうか?

カスタマー・サービス・ディプロマシーにおいて上達すべき理由

ある種の小売店、スーパーマーケット、ディスカウント・ストアでは、棚に商品を並べている店員に、探している商品がどこにあるかをたずねるたびに次のようなことが起こります。

店員が指を指して、分かりにくい道順を2つほど早口でまくし立てるのです。3番の通路を左に行ったところか、8番の通路の家庭用品の反対側かもしれない、と。

私は、ある日曜大工店で同じような質問をしました。その店員は、
「5番か6番の通路に、お探しのものがあると思います。一緒に行って見てみましょう。」
と言って、私を連れていきました。

その売り場で働いている店員を見つけると、私のことを紹介して、それから、自分の持ち場に戻ったのです。

これこそが、カスタマー・サービス・ディプロマシーです。

私は店長を探して、このようなことについて本を書いている者だと自己紹介をし、その店員の接客について質問してみました。「これは、このお店の方針ですか?」と。

「はい」と店長は答えました。

「私たちの店では、全ての店員にそのような接客を指導しています。しかし、少なくともこの時間に勤務している者の中で常にそのような接客ができているのは、彼だけです。彼にはまだ知らせていませんが、次にポストに空きが出たら、彼を店長補佐に昇進させるつもりです。」

情熱を失って冷笑的になることは簡単です。みんながそうだからと低い方に流されるのは簡単なことなのです。

自分の仕事を嫌だと思ったり、従業員に不信感を持ったり、お客に不満を感じたりすることはたやすいのです。

あなたの「牧草地」にチャンスが少ないということを、もうひとがんばりの努力をしないことの言い訳にするのはたやすいのです。

そうです。このようなことは皆たやすいのです。そして、たやすいからこそ決してしてはならないのです。

どの会社でも、どの組織でも、さらにはどの職種でも、卓越し、進歩し、成功する人たちは比較的少数派です。

圧倒的多数の人たちは全く進歩しないのです。そして、私が今述べたような考え方、冷笑的な考え方は、この全く進歩のない圧倒的多数の人たちの考え方です。私たちの社会では、たやすいことをしても得られる報酬はごくわずかです。

進歩する人たちの考え方は、全く違っています。前向きで、楽天的で、明るいのです。

これは、確かに難しいことです。しかし、私たちの社会では、難しいことをすれば得られる報酬も大きいのです。

私の長年の観察では、このような考え方を受け入れ、真に卓越したカスタマー・サービス・ディプロマットになろうと全力を尽くした人たちは、確実に昇進を遂げています。

より易々と、より楽しく仕事する方法

カスタマー・サービス・ディプロマシーが上手くなることで、仕事がより易々と、より楽しくできるようになるという、説得力のある理由がもう一つあります。

仕事中によるストレスやイライラの一番の原因は何でしょうか?

何が、私たちを疲れさせ、不機嫌にさせ、あるいは、度重なる頭痛の原因になっているのでしょう?ストレスの元になっているのは、何でしょうか?

ストレスやイライラの多くは、日々絶え間なく生じる小さなあつれきや衝突によるものです。このようなあつれきや衝突のほとんどは、カスタマー・サービス・ディプロマシーのスキルを用いれば無くすことができます。

ポジティブなフィードバック(好意的な反応)が得られれば、当然のことながら気分が良くなります。

交流分析(TA)では、「ポジティブ・ストローク(受け取った人が“気分が良い”と感じる存在認知)」という専門用語を使うことが一般的です。

「ワーム・ファジー(あたたかいお愛想)」といった言葉が使われることもあります。
ちなみに、その反対は「コールド・プリックリー(冷たいトゲ)」です。

ポジティブ・ストロークは、精神的なハグ(抱擁)のようなものと言えます。

カスタマー・サービスの仕事をしている人は皆、このような望ましく、気分が良くなるポジティブ・フィードバックを促す大きなチャンスを手にしているのです。

次回をお楽しみに。

ダン・ケネディ

ダン・ケネディ

ダン・ケネディは、毎年100万人以上の中小企業、大企業のビジネスオーナーや起業家に影響を与え、世界一多くの億万長者を生みだしている。そんな彼のことを、アメリカで最も億万長者を生んだ人として、「億万長者メーカー」と呼ぶ人もいれば、「21世紀のナポレオンヒル」と呼ぶ人もいる。 「日本一のマーケッター」にも選ばれた神田昌典氏も、彼の著書を監修し、絶賛のコメントを寄せている。

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