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経営者が考える広告費

2013.5.29 | ,
  •  

From:1日3時間しか働かない資産家型経営者 鈴木しゅん

会社の成長にとって大切な2大経費は「広告費」と「教育費」。
この2つの費用を削減すると会社の成長はなくなり、いわゆる『ジリ貧』となっていきます。

今回はこの広告費について考えてみます。
あなたの会社の広告費は月にいくら使っていますか?

私は、経営コンサルティングサービスを提供しているので、多くの社長様とお話する機会が多いのですが、
「広告費が月に100万円もかかってしまって、高くて嫌になる」
というような会話をされることが過去に何度かありました。

ですが、この会話には広告費が高いか安いかを判断するためのとても必要な要素がまるっきり抜けています。

広告費が高いかどうかを判断するキーワード

広告費が高いかどうかを判断するキーワードは
「CPA」「CPO」「全体利益」「LTV」
です。

CPAとはCost Per Acquisition(見込み客獲得単価)
CPOとはCost Per Order(顧客獲得単価)
LTVとはLife Time Value(顧客生涯価値)
です。

簡単に言うと、CPAは1件あたりの見込客、つまり見積依頼の電話を1件ならすのに幾らの費用がかかるか、CPOは1件受注するのにいくらの費用がかかるかです。

また、LTVはお客様が一生涯で支払ってくれる粗利益の平均値のことです。一般的なマーケティングの本では粗利益ではなく、売上としているところもありますが、粗利益が正しいです。

それと単年で初年度から黒字を出したいので、私の会社では一生涯ではなく1年間に支払ってくれる粗利益でLTVを考えています。

それでは、今回の本題に入ります。

月に100万円の広告費は高いのか?安いのか?

これを考えるには、CPA、LTV、全体利益を考えなければなりません。

例えば便利屋さんの例を見てみましょう。
100万円の広告費で200人から見積依頼をされました。
つまりCPAは1,000,000÷200=5,000円です。見込客1人を獲得するのに5,000円かかっています。

そして、この便利屋さんは見積もりに行くと約50%の方から受注がとれます。
つまり200人のうちの100人から受注を取ることができます。
CPOは1,000,000÷100=10,000円です。
1成約あたり10,000円かかっています。

便利屋さんの平均客単価は5万円程度、粗利益は30%だとします。
最初の受注では、5万円の30%の15,000円の粗利益。

1年以内にもう一度50,000円程度の作業をさせていただける確率が約50%とすると、
1人の新規顧客獲得ができれば、
1人あたり平均で初回作業50,000円+追加作業50,000円✕購入率50%の75,000円
が新規顧客1人あたりの平均年間売上。

粗利益(単年LTV)は75,000✕30%の22,500円となります。
1人あたり22,500円の粗利益を得るのにかかる費用は10,000円。
つまり現在の広告費では1人あたり12,500円の黒字になります。

全体では、100人の新規顧客の売上が100人✕平均客単価75,000円=7,500,000円。
広告費100万円を使って稼いだ粗利益が750万円✕30%=2,250,000円。
つまり125万円の黒字です。

だからこの広告費は利益の出せる広告なので、100万円が高いか安いかにかかわらず、続けて良い広告となります。

逆にもし、この広告費が100人新規顧客を得るのに3倍の300万円かけてしまったら、事業自体が赤字になってしまうので、他のものを売ることや購買頻度をあげるなどして、LTVをあげない限り、やらない方がいい無駄な広告になります。

100万円?10万円?

では、100万円もお金がないから、月に10万円の広告費をかけようという場合はどうか。
金額が小さくなっても同じ事です。1人あたりに置き換えて、利益が出るか出ないかでその広告が継続しても良い広告か悪い広告かを判断します。

広告費月10万円の場合の実際の数字を見てみましょう。
条件や率は100万円の時と同じにしています。

10万円の広告費で20人の見込客から見積依頼を受けました。
CPAは100,000÷20=5,000円です。
その20人のうち50%の10人が平均単価50,000円で受注しました。
その10人の50%の5人が追加の作業50,000円を1年以内に受注できます。
CPOは100,000÷10=10,000円です。

1人あたりの粗利益(単年LTV)は、75,000円✕30%=22,500円です。
1人あたり22,500円の粗利益を得るのにかかる費用は10,000円。
つまり現在の広告費では1人あたり12,500円の黒字になります。

全体では、10人の新規顧客の売上が10人✕平均客単価75,000円=750,000円。
広告費10万円を使って稼いだ粗利益が75万円✕30%=225,000円。
つまり125,000円の黒字です。

だからこの広告費は利益を上げる広告なので、10万円が高いか安いかにかかわらず、続けて良い広告となります。

逆にもし、この広告費が10人新規顧客を得るのに3倍の30万円かけてしまったら、事業自体が赤字になってしまうので、他のものを売ることや購買頻度をあげるなどしてLTVをあげない限り、やらない方がいい無駄な広告になります。

ここでもう一つ注意点

さて、最初の100万円の広告費で得られた黒字額は、年間で125万円。
2つ目の10万円の広告費で得られた黒字額は、125,000円。
どちらの場合もこの利益から固定費を払わなくてはいけません。

月に100万円の人件費などの固定費が発生している会社は、100万円の広告費の場合は最終黒字になります。
でも10万円しか広告投資しない場合は、125,000円マイナス100万円の875,000円の赤字です。

だから広告費の設定の前に、売上目標と粗利益目標を想定しておかないと幾らお金をかければよいかがわからなくなります。

月に100万円の広告費が高いか安いかの単純な判断ではなく、1人あたりで利益が出ているのかと全体で利益が出ているのかをCPA,CPO,LTV,全体利益を考えて算出しておくとよいでしょう。

数字が出てくると面倒だなと思ってしまう経営者の方もおられるとは思いますが、経営は数字の積み重ねです。
数字から逃げずに、上記の数字を皆さんの会社の数字に置き換えて、全体利益が上がっているか、広告費は適切かなどをチェックしてください。

本日はここまで。

-鈴木しゅん

追伸
新幹線で新大阪から名古屋までグリーン車に乗りました。名古屋で降りようとすると乗車券を紛失…号泣。
改札口で領収書を見せても全くとりあってもらえず再度同じ金額を支払って精算しないとダメだとのこと…号泣2。
しかもグリーン車に乗った金額と同じ額でないとダメ…号泣3。
切符をなくした大人が悪いのか…、JRの仕組みが悪いのか…。
これからはなるべく自由席を使いたいと思います。

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